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随筆の意味と楽しみ方 |
著作名:
春樹
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随筆とは
エッセイとも呼ばれる随筆は、筆者が見聞き、体験をしたことを通じて感じたことを記した文章のことです。考えをただツラツラと書いたものなので、評論文のようにかっちりとしたものではなく、個人的な考えや感じたことが自由に書かれています。
例えば吉田兼好の徒然草の冒頭です。
「つれづれなるまゝに、日暮らし、硯にむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」
現代語訳すると、「手持ち無沙汰なので、一日中、硯を前にして心に浮かんでは消え、浮かんでは消えていくことをなんとなく書きつづっていると、気が滅入ってしまいそうになる。」といった感じでしょうか。
このように、自分の感じたことを気ままに書いているのです。
何故そのように思うのかを理由をつけて説明しようとするのが評論文ですが、これは違いますよね。
随筆という言葉は西洋のエッセイに由来しますが、その起源はフランスのミシェル・ド・モンテーニュの『エッセイ』(1580年)に遡ります。モンテーニュは、「試み」という意味のエッセイという言葉を使って、自分自身や人間性、社会、歴史などについて自由に考察しました。モンテーニュのエッセイは、個人的な主観や感性を重視し、教養や知識を誇示することなく、読者と対話するような文体で書かれています。
日本での随筆の発展
日本では、随筆が平安時代の清少納言の『枕草子』として初めて現れました。しかし、随筆が本格的に盛んになったのは明治時代以降です。西洋文化や文明が流入し、新しい思想や価値観が生まれたことで、それらに対する個人的な見解や批評を述べる随筆が多く書かれました。
福沢諭吉や森鴎外などの啓蒙家や文学者が社会批評や文学論を随筆として発表し、夏目漱石や芥川龍之介などの小説家も自分の心境や人生観を随筆として表現しました。大正時代には個性尊重主義や浪漫主義が随筆の台頭に貢献し、作者の個性がそのまま出る随筆が盛行しました。科学者や画家など各界からも随筆作家が登場し、随筆は文学の一ジャンルとして確立されました。
昭和以降の発展
昭和時代以降も、社会情勢の変化に伴い、さまざまなテーマやスタイルの随筆が書かれました。戦後は敗戦体験や民主主義への移行などを題材にした随筆が多く見られ、旅行記や趣味・嗜好に関する随筆も人気を博しました。高度経済成長期以降は消費社会や大衆文化への批判的な随筆も増えました。
三大随筆
枕草子
清少納言の筆による「枕草子」は、平安時代中期の日本の風俗や四季の美しさを綴った作品です。清少納言の独自の感性が、作品に魅力を与え、「をかし」の言葉が際立っています。
方丈記
鴨長明が手がけた「方丈記」は、鎌倉時代初期の生活、五大災害、仏教思想に触れた貴重な随筆です。鴨長明の人生観や無常観が、作品全体に影響を与え、その名言「ゆく河の流れは絶えずして」は、多くの人に愛されています。
徒然草
兼好法師の「徒然草」は、鎌倉時代中期の社会風俗、歌道、仏教教義などについて述べた作品です。兼好法師のユーモアと皮肉が随筆に光り、「つれづれなるままに」という名言は、教科書でも出てきます。
このように、清少納言の枕草子、鴨長明の方丈記、そして吉田兼好の徒然草、この3つは日本文学史の三大随筆と呼ばれています。
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