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万葉集『梅花の歌三十二首并せて序』に収録されている和歌
著作名: 走るメロス
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八三〇〜八五二

八三〇【筑前介佐氏子首】
万代に 年は来経とも 梅の花 絶ゆることなく 咲きわたるべし
歌の解説

八三一【壱岐守板氏安麻呂】
春なれば うべも咲きたる 梅の花 君を思ふと 夜眠も寝なくに
歌の解説

八三二【神司荒氏稲布】
梅の花 折りてかざせる 諸人は 今日の間は 楽しくあるべし
歌の解説

八三三【大令史野氏宿奈麻呂】
毎年に 春の来たらば かくしこそ 梅をかざして 楽しく飲まめ
歌の解説

八三四【少令史田氏肥人】
梅の花 今盛りなり 百鳥の 声の恋しき 春来たるらし
歌の解説

八三五【薬師高氏義通】
春さらば 逢はむと思ひし 梅の花 今日の遊びに 相見つるかも
歌の解説

八三六【陰陽師礒氏法麻呂】
梅の花 手折りかざして 遊べども 飽き足らぬ日は 今日にしありけり
歌の解説

八三七【算師志氏大道】
春の野に 鳴くやうぐひす 馴けむと わが家の園に 梅が花咲く
歌の解説

八三八【大隅目榎氏鉢麻呂】
梅の花 散りまがひたる 岡びには うぐひす鳴くも 春かたまけて
歌の解説

八三九【筑前目田氏真上】
春の野に 霧立ちわたり 降る雪と 人の見るまで 梅の花散る
歌の解説

八四〇【壱岐目村氏彼方】
春柳 かづらに折りし 梅の花 誰か浮かべし 酒杯の上に
歌の解説

八四一【対馬目高氏老】
うぐひすの 音聞くなへに 梅の花 我家の園に 咲きて散る見ゆ
歌の解説

八四二【薩摩目高氏海人】
わがやどの 梅の下枝に 遊びつつ うぐひす鳴くも 散らまく惜しみ
歌の解説

八四三【土師氏御道】
梅の花 折りかざしつつ 諸人の 遊ぶを見れば 都しぞ思ふ
歌の解説

八四四【小野氏国堅】
妹が家に 雪かも降ると 見るまでに ここだもまがふ 梅の花かも
歌の解説

八四五【筑前掾門氏石足】
うぐひすの 待ちかてにせし 梅が花 散らずありこそ 思ふ子がため
歌の解説

八四六【小野氏淡理】
霞立つ 長き春日を かざせれど いやなつかしき 梅の花かも
歌の解説

員外の、故郷を思ひし歌両首

八四七【大伴旅人または員外の者】
わが盛り いたくくたちぬ 雲に飛ぶ 薬食むとも またをちめやも
歌の解説

八四八【大伴旅人または員外の者】
雲に飛ぶ 薬食むよは 都見ば いやしき我が身 またをちぬべし
歌の解説

後に梅の花に追和せし四首

八四九【大伴旅人または員外の者】
残りたる 雪にまじれる 梅の花 早くな散りそ 雪は消ぬとも

八五〇【大伴旅人または員外の者】
雪の色を 奪ひて咲ける 梅の花 今盛りなり 見む人もがも

八五一【大伴旅人または員外の者】
わがやどに 盛りに咲ける 梅の花 散るべくなりぬ 見む人もがも

八五二【大伴旅人または員外の者】
梅の花 夢に語らく みやびたる 花と我思ふ 酒に浮かべこそ
一に云ふ、いたづらに 我を散らすな 酒に浮かべこそ




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