黒色人種（ネグロイド）は、歴史的な人種分類概念の一つであり、身体的特徴に基づいて定義されます。この分類はドイツの人類学者ブルーメンバッハによって提唱され、五大人種説の一部として位置づけられました。日本では一般に、黒色人種や黒人と同義に理解されています。

ブルーメンバッハによる五大人種説では、ネグロイドは四大人種の一つとして位置づけられました。これにはヨーロッパを中心としたコーカソイド（白色人種）、オセアニアを中心としたオーストラロイド、東アジア・東南アジアなどを含むモンゴロイド（黄色人種）も含まれていました。

ネグロイドに分類される人々の主な居住地は、アフリカ大陸のサハラ砂漠以南です。"Nigreos"というラテン語に由来する名称からもその特徴が伺えます。

過去の自然人類学や文化人類学では、ネグロイドの他にも、北アフリカ・ヨーロッパ・西アジア・アラブ・南アジアなどを含むコーカソイド（白色人種）、オセアニアを中心としたオーストラロイド、東アジア・東南アジア・ポリネシア・南北アメリカ大陸などを含むモンゴロイド（黄色人種）を4大人種として分類していました。しかし、DNA分析の成果によれば、現生人類の発祥地はアフリカであり、ネグロイドはアフリカにとどまった集団の直系の子孫とされます。

ネグロイドの遺伝的多様性は、他の人種と比較して非常に高いとされています。DNA分析から得られた情報によれば、現生人類発祥の地がアフリカにあることから、ネグロイドは出アフリカせず、アフリカにとどまった集団の直系の子孫であると考えられます。

肌の色やそれを制御する遺伝子は、人種を区別するための単一の要素ではありません。人種分化においては重要な要素ではありますが、それだけで人種を区別することは適切ではありません。遺伝的多様性の観点から、ネグロイドを単に肌の色で定義することは複雑な問題に対して単純化された見方であると言えます。

ネグロイド（Negroid）は、歴史的な人種分類概念の一部であり、身体的特徴に基づくものです。しかし、現代の科学的知見から見ると、遺伝的多様性や人種の定義は肌の色だけではなく、複雑な要素に基づいています。