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『杜子春伝(数年、恩情甚篤〜)』書き下し文・現代語訳(口語訳)と解説 |
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著作名:
走るメロス
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ここでは中国の小説集「続玄怪録」の中の『杜子春伝』の「数年、恩情甚篤〜」から始まる部分の書き下し文、現代語訳とその解説を行っています。
老人に飲まされた薬によって様々な幻惑をみる杜子春。この章では、その姿を絶世の美女に変えられます。絶世の美女でありながら老人との約束で一言も話すことのない杜子春ですが、盧という男性と結婚をしました。
数年、恩情甚篤。
生一男。
僅二歳、聡慧無敵。
盧抱児與之言、不応。
多方引之、終無辞。
盧大怒曰、
「昔賈大夫之妻、鄙其夫、纔不笑。
然観其射雉、尚釈其憾。
今吾陋不及賈、而文芸非徒射雉也。
而竟不言。
大丈夫為妻所鄙、安用其子。」
然観其射雉、尚釈其憾。
今吾陋不及賈、而文芸非徒射雉也。
而竟不言。
大丈夫為妻所鄙、安用其子。」
乃持両足、以頭撲於石上。
応手而砕、血濺数歩。
子春愛生心、忽忘其約、不覚失声云、
「噫。」
つづき
数年、恩情甚だ篤(あつ)し。
一男を生む。
僅(わづ)か二歳にして、聡慧(そうけい)敵無し。
盧児(こ)を抱き之と言へども、応へず。
多方に之を引けども、終に辞無し。
盧大いに怒りて曰はく、
「昔賈大夫(かたいふ)の妻は、其の夫を鄙(いや)しみ、纔(わず)かにも笑はず。
然れども其の雉(きじ)を射るを観て、尚ほ其の憾(うら)みを釈(と)けり。
今、吾は陋(ろう)にして賈に及ばざれども、文芸は徒(た)だに雉を射るに非ざるなり。
而も竟(つい)に言はず。
大丈夫妻の鄙しむ所と為らば、安(いず)くんぞ其の子を用ゐん。」と。
然れども其の雉(きじ)を射るを観て、尚ほ其の憾(うら)みを釈(と)けり。
今、吾は陋(ろう)にして賈に及ばざれども、文芸は徒(た)だに雉を射るに非ざるなり。
而も竟(つい)に言はず。
大丈夫妻の鄙しむ所と為らば、安(いず)くんぞ其の子を用ゐん。」と。
乃ち両足を持ち、頭を以て石上に撲(う)つ。
手に応じて砕け、血数歩に濺(そそ)ぐ。
子春愛心に生じ、忽(たちま)ち其の約を忘れ、覚えず声を失して云はく。
「噫(ああ)。」と。
つづき
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