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1920年代のアメリカ経済(債務国から債権国への転換と世界恐慌) |
著作名:
John Smith
71,541 views |
アメリカの繁栄
第一次世界大戦でヨーロッパが荒廃する中、アメリカは兵器の生産と輸出により巨利を得て、債務国から債権国へと変わっていきました。
国土が戦場にならず、戦争の特需によって好景気となったアメリカでは、戦後に大量生産方式の開発やさまざまな技術革新に恵まれ、世界一の農業・工業生産力を有する巨大な国家となりました。
アメリカの国際的な存在感
こうした繁栄によって、アメリカの国際的な存在感も増していきます。大戦で国土が荒廃したヨーロッパ諸国の中で、特に敗戦国ドイツの復興を積極的に支援しました。
1920年代になると、アメリカの繁栄は長期にわたって継続的に続くと思われるようになります。
孤立主義
国際政治上、アメリカは孤立主義を貫き、アメリカ大陸に対する相互不干渉を主張し続けます。大戦後、ウィルソンの提案によって国際連盟が成立しますが、この孤立主義によって当のアメリカが国際連盟に加盟しないという結果になりました。
ところが、こうした孤立政策にもかかわらず、その後アメリカは積極的に国際政治に関与していきます。
戦後ドイツの賠償問題を解決するためのドーズ案(1924年)、ヤング案(1929年)などヨーロッパの安定と復興を助けることで、各国のアメリカ債権が回収されたからです。
黄金の1920年代から世界恐慌へ
ヨーロッパの復興によって回収された債権は、ウォール街の金融市場に大量に流れ込み、アメリカの各企業に投資されました。国際金融の中心はロンドンのシティからニューヨークのウォール街に移っていきます。
こうした投資は企業の生産活動を活発にし、多大な設備投資が行われました。また、研究開発費も潤沢になり、企業では引き続きさまざまな技術革新がおこり、アメリカは大量生産大量消費社会となっていきます。
自動車の生産増によってモータリゼーションが起こり、アイロン・洗濯機・冷蔵庫・ラジオなど家電製品の普及はさまざまな家庭の日常生活を豊かにしました。
1929年の年頭、共和党の第31代フーヴァーはこうした状況を「永遠の繁栄」という言葉で表現しました。
ところがこの時期すでに、アメリカ国内の過剰な設備投資が問題となり、アメリカ経済に陰りが見え始めていました。
第一次世界大戦以降農産物の価格が下落したため農民が貧困化し、購買力が落ちていたにもかかわらず、過剰な設備投資と生産が続き、ヨーロッパの高関税政策がはじまり、国際貿易が縮小していたのです。
こうした状況から、1929年10月24日、暗黒の木曜日と呼ばれるウォール街の株価大暴落がおこり、企業や銀行が連鎖倒産していきます。世界最大の債権国で圧倒的な経済力を誇っていたアメリカの恐慌は瞬く間に広がり、世界恐慌となっていきました。
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