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啓蒙専制主義 ~啓蒙と専制がなぜ結びついたのか~ |
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著作名:
John Smith
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(エカチェリーナ2世)
18世紀にはいると、プロイセンやオーストリア、ロシアで、啓蒙専制主義という統治理論が生まれます。
少しややこしいので、まず用語の整理をしましょう。
啓蒙というのは啓蒙思想のことです。啓蒙思想をおさらいすると、理性を第一に考え、権威や思想、習慣など合理的でないものを批判することで、民衆を無知から開放しようする思想のことでした。
一方専制は、国王や皇帝などの支配者が自分の独断でおもうまま政治を行うことです。
こうして見ると、「啓蒙」と「専制」は相容れないような気がしますね。
この「啓蒙」と「専制」が結びついて啓蒙専制主義として統治されたのが、中央・東ヨーロッパの国々だったのですが、これらの地域の特徴は何だったのでしょう。
まず、この地域には、封建制度が根強く残る国が多かったのです。
つまり、農奴と領主という関係が中世以来続いていたので、農業が主要な産業だったわけです。
農奴制の定着、拡大は、商人の活躍と商工業の発達を妨げます。商工業の発展がないので近代化もままならず、当時のプロイセン、オーストリア、ロシアはイギリスやフランスなどに比べて、遅れた地域でした。
このように、遅れた地域の君主たちは、西ヨーロッパの目覚しい発展を目の当たりにして、自国の状況に危機感を覚えます。オーストリアのヨーゼフ2世、プロイセンのフリードリヒ2世、ロシアのエカチェリーナ2世などです。
彼らは近代化を進めるために、啓蒙専制君主としてさまざまな政策を行うようになりました。
改革は法制度の確立や産業育成、宗教の寛容化など、多岐にわたりました。
この上からの近代化を実現するために、合理的な近代化の必要性を啓蒙思想を使って説いたのです。
後進地域で、強い力を持つ封建貴族に対抗するために、国王は合理的な啓蒙思想を利用し、国民との結びつきを強めました。
このように、啓蒙専制君主たちは、あくまで自国の近代化を達成するために啓蒙思想を利用し、専制をおこないました。
これが「啓蒙」と「専制」が結びついた理由です。
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