唐代における均田制は、農業基盤を安定させ、国家の財政を強化するために導入された土地分配制度です。この制度は、国家が農地を直接管理し、農民に公平に土地を分け与えることで、経済的な安定と中央集権を促進しました。この制度は、唐の時代においても使われました。


均田制では、国家がすべての土地を「公地」として管理し、各農民や家族に対して土地を分配します。土地の分配基準は、家族の人数や労働力に基づいていました。成人男性には一定の耕地が与えられ、さらに家族構成に応じて追加の土地が配分されました。この仕組みにより、大土地所有者の権力が制限され、農民に対する土地の配分が公平になるように設計されていました​。丁男（21歳～59歳）と18歳以上の中男に口分田80畝・永業田20畝、妻・奴婢・耕牛への給田はなく、官人永業田、職分田、公廨田も整備されました。




均田制の主要な目的は、土地を持たない農民を減らし、農業生産力を最大化することにありました。これにより、唐王朝は安定した税収を確保できると同時に、農民たちは自らの生活を支えるための土地を確保することができました。この制度はまた、地方での土地所有の集中を防ぎ、国家の統治力を強化する役割も果たしました​。


均田制は初期には非常に効果的であり、国家による土地分配が農業の生産力を高め、農村社会における平等を促進しました。これにより、国家は安定した収入を得ることができ、経済全体の安定にも寄与しました。しかし、長期的にはいくつかの問題が浮上しました。例えば、人口の増加や戦争、または自然災害により、土地の再分配が困難になり、制度の維持が難しくなっていきました。

特に、富裕層や権力者が土地を買い占めたり、制度を無視して土地を私有化する事例が増え、制度の機能が低下していきました。また、貧困層の農民たちが耕作に必要な道具や資源を持たず、十分な生産力を発揮できないこともありました​。


唐の中期から後期にかけて、均田制は次第に機能不全に陥り始めました。その原因の一つは、制度自体が急激な人口増加に対応できなかったことです。農地が不足し、全ての農民に土地を公平に分配することが困難となり、特に戦乱や内乱の影響で多くの農地が荒廃したことも一因です。755年に勃発した安史の乱は、均田制の崩壊を加速させ、以降、土地分配制度は形骸化していきました。

均田制は唐王朝の初期において、農業生産と税収の安定を通じて国家の基盤を強化する重要な役割を果たしましたが、その維持には限界があり、唐の後期には徐々にその効果を失いました。それでも、この制度は中国古代の土地制度史において重要な位置を占めており、その影響は後の時代にも及びました。