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青年期の特徴とは 5 <アイデンティティの確立とライフサイクル> |
著作名:
John Smith
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アイデンティティとは
アイデンティティは、自我同一性とも言い、誕生以来、自分がありのままの自分としていつづけたという一貫性と、社会的に役割を果たし、同時に社会に認められているという自信、つまり「これが本当の自分」という概念です。
青年期は、社会的責任を免除され、自分自身を見つめなおす重要な時期であり、アイデンティティの確立は、非常に重要なテーマになっています。
心理学者エリクソン
このアイデンティティの概念を提唱したのが、アメリカの心理学者エリクソンです。
幼少期、父親の所在がわからないユダヤ系の子供としてドイツで育ちますが、顔立ちの違いから、ユダヤ人社会で差別を受け、他方ドイツ社会からはユダヤ人であるという理由で差別を受け、社会的に二重の差別を受けて育ちました。
また、32歳の時にナチスからの迫害を逃れアメリカに移住し、そこでもアメリカ社会と異邦人という感覚を経験します。
こうした彼の経験は、自分自身が何者なのかという疑問とともに、アイデンティティ理論の確立に大きな影響を与えました。
アイデンティティの危機
青年が自己を確立するためには、同性の友情と異性の親密さがある同年代の社会集団の中で自分の存在が認められることで、集団や社会の一員であるという認識を持つことが重要であるとエリクソンは述べました。
また彼は同時に、この時期に同年代の同性や異性の間に親密な関係が生まれず、社会集団の中の自分の立ち位置や役割がわからなくなった場合、青年は自分の自己を見失い、精神的に危機的状況に陥るとし、これをアイデンティティの危機と呼びました。
ライフサイクル
このような主張の中で、エリクソンは人間は一生の中で人生を8段階に分け、それぞれの段階において社会的な課題と克服を明示しました。
これをライフサイクルと言い、人間が自己を確立していく過程を図式化しました。
段階 | 名前 | 心理的成功 | 心理的失敗 |
第一段階 | 乳児期 | 信頼 | 不信 |
第二段階 | 幼児前期 | 自律性 | 恥・疑惑 |
第三段階 | 幼児後期 | 積極性 | 罪悪感 |
第四段階 | 児童期 | 勤勉性 | 劣等感 |
第五段階 | 初期成年期 | 親密感 | 孤独感 |
第六段階 | 初期成年期 | 親密感 | 孤独感 |
第七段階 | 成年期 | 生殖性 | 自己吸収 |
第八段階 | 成熟期 | 自我統合感 | 嫌悪・絶望 |
ライフサイクルにおいては、心理的成功のみが素晴らしいのではなく、不成功の経験も重要であり、成功と不成功を統合したものが、人間の正常な成長に寄与するとエリクソンは主張しています。
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