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十字軍の歴史① ~十字軍が起こった原因と聖地奪還運動~ |
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著作名:
エンリケ航海王子
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聖戦を行ったとされる十字軍は、どのような背景から生まれてきたのでしょう。このテキストでは、当時のヨーロッパ社会の様子を中心に、十字軍遠征の理由を見ていきましょう。
十字軍は、なぜ11世紀のヨーロッパにおこったのでしょう。主な理由は以下のようなものであると考えられています。
11世紀から12世紀にかけて、キリスト教の人々の間では、さまざまな場所が聖地として崇められていました。特に、三大聖地と言われたローマ・イェルサレム・サンティアゴ=デ=コンポステーラが多くの人々の巡礼地として人気を集めました。
イェルサレムはキリストの墓、ローマは聖ペテロの墓、サンティアゴ・デ・コンポステーラは聖ヤコブの墓があると信じられていました。ちなみにサンティアゴ・デ・コンポステーラは現在のスペイン北西にあります。
この聖地への巡礼は、当時のヨーロッパにおいて重要な活動となり、近隣のイスラム王朝との緊張も高まるばかりでした。
そのころ東方のビザンツ帝国はセルジューク朝との戦いに苦戦しており、キリスト教国の団結が必要とされていたのです。
また、これに関連して、クリュニー修道院が聖地巡礼を後押しすると共に、キリスト教徒によるイベリア半島におけるレコンキスタも本格化し始めます。
この時代、現在のスペインがあるイベリア半島は、大部分をイスラム王朝が支配していました。
10世紀ころから、ヨーロッパ各地で農業の技術革新が始まりました。主な新技術は以下のようなものです。
新技術 | 内容 |
三圃制農業 | 耕作地を三分割して休閑地を設け、三年で一巡させる農業。二圃制よりも農業生産性が増した。 |
鉄製農具 | 従来の器具に比べ、強靭で扱いやすい農具。 |
重量有輪犁 | 牛馬を使って、土を掘り起こす道具。土を深く耕し、農業生産性が向上した。 |
水車 | 人工的に灌漑地に水を送る装置。 |
開放耕地制 | 耕地を仕切らずに耕す農法。 |
このような農業技術の向上によって食料の増産が可能となり、人口も爆発的に増加しました。この農業の生産性向上は、大開墾運動というものを引き起こします。
人口が増加した西ヨーロッパでは、特にドイツ諸侯や騎士、修道院によってエルベ川以東への植民活動が盛んになりました。これにより、西ヨーロッパによる領域の拡大というものが始まりました。
東方のビザンツ帝国は三大聖地の一つであるイェルサレムを管理していました。しかし、11世紀にセルジューク朝との戦いに敗れ、イェルサレムがイスラム王朝に占領されてしまいます。
これはキリスト教徒にとって耐え難い事件となりました。
こうした中、ビザンツ帝国の皇帝アレクシオス1世は、ローマ教皇を通じて西ヨーロッパ世界に救援を求めました。このことが、十字軍結成の直接的な契機になったのです。
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