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政党の誕生と憲法草案とは わかりやすい政治・経済40 |
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著作名:
レキシントン
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明治期の近代国家建設:政党の誕生と憲法草案をめぐる歩み
日本の近代化が進む明治時代、国をどのように運営していくかという議論が活発化しました。特に1880年代は、国民の声を政治に反映させるための「国会開設」と、国の基本法である「憲法制定」を求める運動が最高潮に達した時期です。
ここでは、当時の政治的な動きと、官民それぞれの憲法構想について、歴史的事実に基づいて解説します。
1. 初期政党の結成と三つの勢力
1880年(明治13年)に結成された「国会期成同盟」などの動きを経て、日本で初めての本格的な政党が誕生します。当時の政党は、大きく分けて三つの流れがありました。
自由党(1881年結成)
板垣退助や後藤象二郎を中心とした日本初の政党です。フランスの自由民権思想(ルソーの思想など)をベースにしており、士族や豪農を主な支持基盤としていました。主権を国民に置くなど、当時の基準としては非常に進歩的、かつ急進的な主張を掲げていたのが特徴です。
立憲改進党(1882年結成)
大隈重信や内閣の要職を歴任した知識人らによって作られた政党です。こちらはイギリス流の立憲主義(議院内閣制に近いモデル)を目指し、都市の知識層や商人、官吏などを中心に支持を集めました。自由党に比べると「漸進的(少しずつ変化させる)」な改革を好みました。
立憲帝政党(1882年結成)
野党的な性質を持つ上記の二党に対し、政府を支持する立場から組織された「官党」です。天皇による統治権を重視する「欽定憲法主義(君主が定めた憲法)」を掲げ、政府の権威を守る役割を担いました。
2. 政府の対応と「プロイセン憲法」の選択
民権運動が激しくなる中、明治政府は1881年(明治14年)に大きな決断を迫られます。
政府内部では、早期の国会開設を主張する大隈重信と、慎重派の伊藤博文らが対立しました。最終的に、大隈は政府を去ることになり(明治十四年の政変)、政府は「1890年に国会を開設する」という約束(国会開設の勅諭)を国民に示しました。
約束の期日に向けて、憲法の作成が急ピッチで進められます。中心人物となったのは伊藤博文です。伊藤はヨーロッパへ渡り、各国の法体系を調査しました。その結果、君主の権限が強い「プロイセン(ドイツ北部を中心とした旧国家)」の憲法をモデルに選ぶことになります。帰国後、伊藤は井上毅や伊東巳代治、金子堅太郎らと共に、政府内での秘密裏な草案作成に着手しました。
3. 国民による憲法草案「私擬憲法」の広がり
政府が秘密裏に準備を進める一方で、国民の間でも「自分たちが望む国の形」を文章にする動きが広がりました。これらを総称して私擬憲法(しぎけんぽう)と呼びます。
全国で40以上もの草案が作られたと言われており、当時の日本人の政治意識の高さがうかがえます。代表的なものとして、以下の二つが挙げられます。
植木枝盛の「東洋大日本国国憲案」
土佐(高知県)出身の思想家、植木枝盛が起草したこの案は、現代の視点から見ても非常に先進的な内容でした。
国民の権利: 言論の自由や思想の自由を明確に定めていました。
抵抗権と革命権: 政府がもし暴政を行った場合、国民はそれに抵抗したり、新しい政府を樹立したりする権利を持つと明記していました。
連邦制の提構: 中央集権的な体制ではなく、各州に強い自律権を認める「連邦制」の国家モデルを打ち出していました。
五日市憲法草案
現在の東京都あきる野市(旧五日市町)の土蔵から発見された草案です。学問を志して地域に赴いた千葉卓三郎が起草し、地元の若者や農民たちが組織した学習結社(学芸講談会)で熱心に議論を重ねて作り上げたものでした。ここでは、国民の権利(人権)が法によって不当に侵害されないことや、教育の自由、平等の原則などが強く打ち出されています。
まとめ:二つの方向性と近代日本の出発点
この時期の日本には、大きく分けて二つの「憲法の理想」がありました。一つは、天皇中心の強力な統治体制を築こうとした政府の構想。もう一つは、国民一人ひとりの権利や民主的な運営を重視した民間サイドの構想です。
最終的に1889年、政府主導による「大日本帝国憲法」が発布されることになりますが、その背景には、全国各地で真剣に「国の未来」を考えた無数の人々の情熱と議論があったことを忘れてはなりません。
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