更新日時:
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フランクフルト学派による道理的理性の批判 |
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著作名:
zed
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第1次世界大戦、第2次世界大戦に大きくかかわったドイツですが、当時でもドイツは先進国に数えられる進んだ国でした。
そこで1つ大きな疑問がわきます。高い教養や文化を持つ国でありながら、なぜ戦争や虐殺が起きたのかという疑問です。
この問題の解決に取り組んだのが、フランクフルト学派に属する学者たちです。
理性とはそもそも、人間が自分の行いに対して自問自答を繰り返し、それが正しいのかそれとも正しくないのか、矛盾している点はないのかを考えるものであるはずでした。
しかしどこかのタイミングで、現実に起こっていることに対して懐疑的な目線を持って矛盾点を見つけようとすることなく、素直に受け入れようとする形に理性が変化してしまったのです。ただ与えられた目的を達成するために自分は何をすべきか、だけを考えるようになるのです。この理性のことを道具的理性と言います。
道具的理性の下では、理性は何が正しくて何が正しくないかを判断するものではなく、現実を素直に受け止めようとする手段にすぎないので、仮にファシズムのような思想が起こっても、それをすんなりと受け入れてしまう傾向にあります。強い権力に傾倒し、弱者を排除しようとする社会の流れに乗っかってしまうのです。
ドイツで起こったファシズムに傾倒した国民は、まさにこの道具的理性をもった状態であったと言えるでしょう。
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