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世界人権宣言・国際人権規約とは わかりやすい政治・経済21
著作名: レキシントン
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国際社会における人権保障の歩み:世界人権宣言から国際人権規約まで


私たちは今日、当たり前のように「自分たちには権利がある」と考えています。しかし、世界中のすべての人に共通の権利を認めようという動きが国際的に本格化したのは、それほど古いことではありません。人類が二度の大きな世界大戦を経験し、その惨禍を繰り返さないために知恵を絞った結果、現代の人権保障の仕組みが形作られました。

ここでは、国際的な人権保障の基盤となった「世界人権宣言」と、それをさらに具体化して法的拘束力を持たせた「国際人権規約」について、その歴史的背景や日本との関わりを交えて解説します。

1. 「世界人権宣言」の誕生とその意義


1945年に設立された国際連合は、世界平和の維持を最大の目的としていました。その中で、平和を達成するためには、国籍や人種を問わず、あらゆる個人の尊厳と権利が守られる必要があるという認識が共有されました。

この考えを具体的な文書としてまとめたのが、1948年の第3回国連総会で採択された「世界人権宣言」です。この宣言は、加盟国が全会一致(棄権はありましたが反対はゼロ)で承認したもので、人類の歴史における人権の理念を一つにまとめ上げた集大成ともいえる内容でした。

宣言の性格と影響

世界人権宣言の大きな特徴は、それが「宣言」であるという点です。つまり、当時の段階では国家間の「条約」のような法的な強制力は持っていませんでした。しかし、その道徳一・政治的な重みは非常に大きく、その後の各国の憲法制定や法律づくり、さらには植民地支配からの独立運動などに多大な影響を与えました。

この宣言が採択された12月10日は、現在も「世界人権デー」として世界中で記念されています。

2. 世界人権宣言が掲げた理想


宣言の本文には、人間が人間らしく生きるための基本的なルールが数多く盛り込まれています。その要点をいくつか見ていきましょう。

人間の尊厳と平等(第1条)

すべての人間は生まれながらにして自由であり、尊厳と権利において平等であると定められています。人間には理性が備わっており、お互いに助け合って行動すべきであるという精神が示されています。
差別の禁止(第2条)

人種、性別、言語、宗教、政治的意見、あるいは生まれた場所や財産の多寡などによって差別されることなく、誰もがこの宣言にある権利を享受できるとしています。
生命と自由の保障(第3条)

自分の命が守られ、自由であり、身体の安全が保障されることは、あらゆる権利の土台となります。
政治への参加と労働の権利(第21条・第23条)

選挙を通じて自国の政治に関わる権利や、自分で職業を選び、公正な条件で働いて失業から保護される権利など、市民的な自由から社会的な保障まで幅広く言及されています。

これらの項目は、当時の国際社会が「二度と専制政治や抑圧による悲劇を繰り返さない」という決意を込めて作成したものです。

3. 法的拘束力を持たせた「国際人権規約」


世界人権宣言は素晴らしい理想を掲げていましたが、前述の通り「守らなくても罰則や強制がない」という課題がありました。そこで、宣言の内容をより具体化し、加盟国に対して法的な義務を負わせるために作られたのが、1966年に採択された「国際人権規約」です。

この規約は、大きく分けて以下の構成になっています。

A規約(社会権規約):教育を受ける権利や労働者の権利など、国家が積極的に関与して実現すべき権利。

B規約(自由権規約):身体の自由や表現の自由など、国家が個人の活動を不当に妨げてはならない権利。

選択議定書:規約の実効性を高めるための追加のルール。

新たな視点と救済制度

国際人権規約では、世界人権宣言には含まれていなかった「民族自決権(自分たちの国のあり方は自分たちで決める権利)」や、天然資源を享受する権利なども盛り込まれました。

また、特に画期的だったのが、B規約の「選択議定書」に含まれる「個人通報制度」です。これは、自分の人権が侵害されたと感じた個人が、国内の裁判所などで解決できなかった場合に、国連の委員会に対して直接救済を申し立てることができる制度です。ただし、この制度を利用するためには、それぞれの国がこの議定書を認める必要があります。

4. 日本と国際人権保障


日本は1979年に国際人権規約(A規約・B規約)を批准し、国際社会の一員として人権を守る義務を負うことになりました。しかし、批准にあたってはいくつかの課題もありました。

留保という選択

条約を批准する際、その国が国内法との兼ね合いなどで一部の条項を受け入れないことを「留保(りゅうほ)」と呼びます。日本は当初、以下の3点について留保、あるいは適用しないという立場をとりました。
祝祭日などの給与支払いの義務化
公務員のストライキ権(争議権)の容認
高校・大学の無償化

このうち、「高校・大学の無償化」については、その後の社会情勢の変化や国際的な要請を受け、2012年に留保を撤回することを国連に通知しました。これにより、日本も国際基準に合わせた教育の機会均等を目指す姿勢をより明確にしました。

残された課題

日本はA規約とB規約には参加していますが、個人が国際機関に直接訴えることができる「選択議定書」については、現在も批准していません。これについては、日本の司法権の独立を損なう恐れがあるという慎重な意見と、より高いレベルの人権保障のために導入すべきだという意見があり、現在も議論が続いています。

5. まとめ:未来へつなぐ人権のバトン


世界人権宣言から始まった国際的な人権保障の試みは、国際人権規約という法的な形を経て、私たちの生活に深く根付いています。人権とは、誰かに与えられるのを待つものではなく、歴史の中で多くの人々が声を上げ、守り抜いてきた大切な価値観です。

高校生や社会人の皆さんが、これらの歴史や仕組みを理解することは、自分自身の権利を守るだけでなく、他者の権利を尊重できる社会を築くための第一歩となります。国際社会が合意した「すべての人間が自由に、尊厳を持って生きられる世界」という目標は、今もなお達成の途上にあります。このバトンをどのように次世代へつないでいくか、私たち一人ひとりが考えていく必要があります。

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