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「エチオピア連邦民主共和国」について調べてみよう
著作名: 早稲男
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エチオピア連邦民主共和国

エチオピア連邦民主共和国(以下「エチオピア」、英語ではFederal Democratic Republic of Ethiopia)は、東アフリカに位置する連邦共和制国家です。首都はアディスアベバです。

このテキストでは、エチオピアの特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。


1.国土:古代からの歴史が息づくアフリカの角

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エチオピアは、アフリカ大陸北東部、「アフリカの角」と呼ばれる地域に位置する内陸国です。国土面積は約109万7,000平方キロメートルで、日本の約3倍の広さを持ちます。 北をエリトリアとジブチ、東をソマリア、南をケニア、南東に南スーダンとウガンダ、北東にスーダンと国境を接した内陸国です。国土の大部分はエチオピア高原と呼ばれる標高の高い地域で、平均標高は2,500メートルを超え、「アフリカの屋根」とも呼ばれています。首都アディスアベバも標高約2,400メートルに位置しています。

地形

・エチオピア高原:国土の大部分を占める高原地帯。

・大地溝帯:国土を南北に縦断する巨大な地溝帯。

・低地:南東部や北東部に広がる乾燥した地域。

気候

・標高差により多様な気候帯が存在します。

・高原地帯は年間を通して温暖で、過ごしやすい気候です。

・低地は高温で乾燥した気候です。

自然

・多様な動植物が生息する豊かな自然が残っています。シミエン国立公園やバレ山国立公園など、世界遺産に登録された自然公園も存在します。


2.人口と人種:多様な民族の共存

エチオピアの人口は約1億2,600万人(世界銀行, 2023年)を超え、アフリカで2番目に人口が多い国です。80以上の民族が共存し、それぞれ独自の言語や文化を持っています。

主要な民族としては、オロモ人、アムハラ人、ティグライ人、ソマリ人など、約80の民族が存在し、それぞれ独自の文化や伝統を持っています。

宗教としてはエチオピア正教(人口の約40%を占めるキリスト教の一派。)、イスラム教(人口の約30%)、その他の宗教(プロテスタント、伝統宗教)などとなっています。


3.言語:多様な言語が息づく

エチオピアでは、80以上の民族語が話されています。公用語はアムハラ語ですが、オロモ語、ティグリニャ語、ソマリ語なども広く使われています。また、英語も都市部を中心に通用します。

主な言語:としては、以下のものが挙げられます。
・アムハラ語:公用語。
・オロモ語:国内で最も話者数の多い言語。
・ティグリニャ語:北部を中心に話されている言語。
・ソマリ語:東部を中心に話されている言語。
・英語:都市部を中心に通用する。


4.主な産業

エチオピアはアフリカ政治の中心であり、アディスアベバにはアフリカ連合(AU)の本部があります。

エチオピアの主な産業は、農業とサービス業です。農業はGDPの約30%を占め、コーヒー、ゴマ、豆類などを輸出しています。サービス業は近年成長が著しく、通信、金融、観光などが主要な分野です。また、製造業も政府の支援を受けて成長しており、繊維、皮革、食品加工などが主な分野です。しかし、経済が急速に発展をしてはいるものの、最貧国の1つに数えられます。


農業

・コーヒー:エチオピアはコーヒー発祥の地として知られ、アラビカ種の高品質なコーヒーを生産しています。

・ゴマ:世界有数のゴマの産地であり、輸出も盛んです。

・豆類:ヒヨコ豆、インゲン豆など、多様な豆類が栽培されています。

サービス業

・通信:携帯電話やインターネットの普及が進んでいます。

・金融:銀行や保険会社などの金融機関が発達しています。

・観光:歴史遺産や自然公園など、観光資源が豊富です。

製造業

・繊維:綿花栽培が盛んで、繊維産業が発展しています。

・皮革:畜産が盛んで、皮革製品の生産も行われています。

・食品加工:農産物を原料とした食品加工業が盛んです。


5.主な観光地:古代からの歴史と豊かな自然

エチオピアは人類誕生の地と言われ、古代からの歴史を物語る遺跡や、雄大な自然が織りなす景勝地など、数多くの観光地があります。

歴史遺産

・アクスム:古代アクスム王国の首都として栄えた都市。オベリスクや教会など、数多くの遺跡が残っています。

・ラリベラ:12世紀に岩をくり抜いて造られた教会群。世界遺産に登録されています。

・ゴンダール:17世紀に建てられた城塞都市。城や教会など、歴史的な建造物が残っています。

自然

・シミエン国立公園:標高4,000メートル級の山々が連なる国立公園。世界遺産に登録されています。

・バレ山国立公園:多様な動植物が生息する国立公園。固有種の動物も多く生息しています。

・ダナキル砂漠:地球上で最も過酷な環境の一つと言われる砂漠。活火山や塩湖など、独特の景観が広がっています。


6.文化

エチオピアは、3,000年以上の歴史を持つ国であり、独自の文化を育んできました。多様な民族が共存しているため、文化も多様性に富んでいます。

伝統文化

・エチオピア正教の文化:聖歌やイコンなど、独特の宗教文化が根付いています。

・コーヒーセレモニー:エチオピア発祥のコーヒーを味わう伝統的な儀式。

・伝統音楽やダンス:各民族が独自の音楽やダンスを持っています。

現代文化

・映画や音楽:エチオピア映画や音楽は、近年国際的な評価も高まっています。

・文学:エチオピアの文学は、古代からの伝統を受け継ぎながら、現代的なテーマも取り入れています。

・絵画や彫刻:エチオピアの美術は、宗教的なテーマから現代的な表現まで、幅広い作品が生み出されています。


7.スポーツ

エチオピアでは、長距離走が非常に人気があります。ハイレ・ゲブレセラシェやケネニサ・ベケレ、アベベ・ビキラなど、世界的なランナーを数多く輩出しています。また、伝統的な棒術競技のゲンナなども盛んです。

陸上競技

エチオピアは、長距離種目においてオリンピックや世界陸上で数多くのメダルを獲得している強豪国です。

伝統スポーツ

・ゲンナ:棒術を使った伝統的なスポーツ。

・グクス:乗馬で行われる伝統的なスポーツ。


8.日本との関係

日本とエチオピアは1955年の外交関係樹立以来、友好関係を築いてきました。

1. 開発協力と人道支援

日本はエチオピアの社会基盤の強化と人道的支援に積極的に関与しています。2024年2月には、洪水被害を受けた地域に対して100万米ドルの緊急無償資金協力を行い、水・衛生(WASH)サービスの復旧を支援しました。また、2024年1月には、ティグライ州の危機的状況に対応し、50万米ドルを拠出して水と衛生サービスのアクセス改善を図りました。

2. 社会インフラの整備

2023年6月、日本はアムハラ州およびティグライ州における社会インフラ整備計画として、約10.72億円の国際機関連携無償資金協力を実施しました。この取り組みは、地域の安定と発展を促進し、住民の生活環境の改善に寄与しています。

3. 投資促進と経済関係の強化

2023年4月9日、東京で開催された日・エチオピア政策協議において、両国は経済関係や開発協力のさらなる発展について意見交換を行いました。特に、日本企業のエチオピアへの投資促進のため、投資協定の交渉を進めることで合意しました。この協議では、エチオピア国内の和平合意履行に向けた努力に対し、日本がDDR(武装解除、動員解除、社会復帰)の分野を含めて支援を継続する意向も示されました。

4. 民間セクターとの連携

日本の民間企業もエチオピア市場への関心を高めています。エチオピアのアビィ首相による政治の民主化と経済の自由化の改革が進展し、2025年までの中進国入り(一人当たりGDP1,000ドル以上)を目指す中、日本企業はこの成長市場への参入機会を模索しています。

5. 農業分野での協力

エチオピアの主要産業である農業分野においても、日本は技術協力や人材育成を通じて支援を行っています。これらの取り組みは、農業生産性の向上と食料安全保障の強化に寄与しています。

6. 教育・人材育成

日本はエチオピアの教育分野でも協力を進めており、奨学金の提供や専門家の派遣を通じて人材育成を支援しています。これらの活動は、エチオピアの持続的な発展を支える人材の育成に貢献しています。

これらの多岐にわたる経済協力を通じて、日本とエチオピアの関係は今後も一層強化され、両国の発展に寄与することが期待されています。


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