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18_80 内陸アジア世界の形成 / モンゴル民族の発展

『集史』とは わかりやすい世界史用語1549

著者名: ピアソラ
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『集史』とは

ラシード=アッディーンは、13世紀から14世紀にかけて活躍したペルシアの歴史家、医師、政治家であり、イル=ハン国の宰相として知られています。彼の著作『集史』は、モンゴル帝国の歴史を中心に、広範な地域の歴史を網羅した重要な歴史書です。この書物は、モンゴル帝国の成立からその後の歴史的出来事までを詳細に記録しており、特にモンゴルとその周辺地域の歴史を理解する上で欠かせない資料となっています。

『集史』の成立背景

『集史』は、ガザン=ハンの命により、ラシード=アッディーンが編纂したもので、1305年から1306年にかけて着手され、1310年から1311年にかけて完成しました。ガザン=ハンは、モンゴル帝国のイスラム化を進める中で、歴史的な記録を残すことの重要性を認識し、ラシード=アッディーンにこの大作を託けました。彼の目的は、モンゴルの歴史を正確に記録し、後世に伝えることでした。



内容の構成

『集史』は、全体で三巻から成り立っています。第一巻は「モンゴル史」、第二巻は「同時代史」および「世界史」、第三巻は「地理誌」となっています。各巻は、モンゴル帝国の歴史だけでなく、周辺地域の歴史や文化、社会についても詳述されています。

第一巻:モンゴル史

第一巻では、チンギス・ハンやその後のモンゴルの指導者たちの生涯と業績が詳しく記されています。特に、チンギス・ハンの統治下でのモンゴルの拡張や、彼の後継者たちによる征服活動が中心テーマとなっています。また、モンゴルの部族構成や社会制度についても触れられています。

第二巻:同時代史および世界史

第二巻では、モンゴル帝国の成立とその影響を受けた地域の歴史が記録されています。特に、ペルシア、アラビア、インド、中国などの地域における歴史的出来事が詳細に述べられています。この巻は、モンゴル帝国がどのようにして広大な領土を支配し、各地域の文化や社会に影響を与えたかを理解するための重要な資料です。

第三巻:地理誌

第三巻では、当時の地理的知識がまとめられており、各地域の地理的特徴や文化、経済についての情報が提供されています。この巻は、モンゴル帝国の広がりを理解する上で、地理的な視点からの重要な資料となっています。

影響と評価

『集史』は、モンゴル帝国の歴史を記録した最初の包括的な歴史書として、後世の歴史家や研究者に多大な影響を与えました。特に、モンゴル帝国の歴史研究においては、他の資料と並んで重要な位置を占めています。また、ラシード=アッディーンの視点は、彼自身がイスラム教徒であったことから、モンゴルの歴史をイスラム的な文脈で理解する手助けとなっています。

1. ラシード=アッディーンの生涯
ラシード=アッディーンは、1247年頃に生まれ、1318年に亡くなりました。彼はユダヤ人の家系に生まれ、後にイスラム教に改宗しました。彼の医師としてのキャリアは、イル=ハン国の宮廷で始まり、次第に政治的な地位を確立していきました。彼は、ガザン=ハンの信任を受けて宰相に任命され、政治的な影響力を持つようになりました。

2. 『集史』の重要性
**『集史』**は、モンゴル帝国の歴史を記録した最初の包括的な歴史書であり、モンゴルの征服活動やその後の影響を理解するための重要な資料です。特に、モンゴルの部族構成や社会制度、文化的背景についての詳細な記述は、当時の社会を理解する上で欠かせません。また、彼の記述は、他の歴史書と比較しても客観的であり、信頼性が高いと評価されています。

3. 研究の進展
近年、ラシード=アッディーンの**『集史』**に関する研究が進展しており、彼の視点や記述の背景についての理解が深まっています。特に、彼の歴史観や文化的背景が、彼の著作にどのように影響を与えたかについての研究が行われています。これにより、彼の著作が単なる歴史書にとどまらず、当時の社会や文化を反映した重要な文献であることが明らかになっています。

ラシード=アッディーンの『集史』は、モンゴル帝国の歴史を理解する上で欠かせない資料であり、彼の視点や記述は、後世の歴史家や研究者に多大な影響を与えています。彼の著作は、モンゴルの歴史だけでなく、広範な地域の歴史を網羅しており、当時の社会や文化を理解するための重要な手がかりとなっています。

『集史』の成立時期について、ガザン=ハンの治世中に編纂されたことが強調されていますが、オルジェイトゥ・スルターンの治世においても重要な役割を果たしたことを明記する必要があります。オルジェイトゥは、ラシード=アッディーンに対して、モンゴル人以外の民族の歴史をも含めた広範な歴史書の編纂を命じました。このことにより、『集史』はモンゴル帝国の歴史だけでなく、周辺地域の歴史をも網羅することとなり、初めての「世界史」としての側面を持つことが強調されるべきです。

また、ラシード=アッディーンの著作は、ペルシア語で書かれているため、当時のペルシア文化やイスラム文化の影響を受けている点も重要です。彼の記述は、モンゴルの歴史をイスラム的な視点から捉え、モンゴルとその周辺の文化的交流を反映しています。これにより、彼の著作は単なる歴史書にとどまらず、当時の社会や文化を理解するための貴重な資料となっています。

さらに、現存する『集史』の写本は、さまざまな図書館に分散して保存されており、各写本の内容や構成に若干の違いがあることも指摘されるべきです。
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『世界史B 用語集』 山川出版社

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