たちかへる/立ち返る
このテキストでは、ラ行四段活用の動詞「
たちかへる/立ち返る」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ラ行四段活用
未然形 | たちかへら |
連用形 | たちかへり |
終止形 | たちかへる |
連体形 | たちかへる |
已然形 | たちかへれ |
命令形 | たちかへれ |
■意味1:自動詞
元の場所に引き返す、昔に立ち戻る。
[出典]:
折節の 徒然草
「花橘は名にこそ負へれ、なほ、梅の匂ひにぞ、いにしへの事も
立ち返り恋しう思ひいでらるる。」
[訳]:橘の花は(昔のことを恋しく思わせることで)有名であるが、やはり、梅の香によって、昔のことも
立ち戻って恋しく思いだされる。
■意味2:自動詞
(波が)
寄せては返す。
[出典]:土佐日記
「風の吹くことやまねば、岸の波立ち返る。」
[訳]:風が吹きやまないので、海岸の波が寄せては返す。
■意味3:自動詞
繰り返す。
[出典]:夫の死 更級日記
「親の折より立ち返りつつ見しあづま路よりは...」
[訳]:親のときから繰り返し経験した東国地方よりは...
■意味4:自動詞
年が改まる。
※この用法の場合、「年立ち返る」の形で用いられる。