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『送薛存義之任序(薛存義の任に之くを送るの序)』書き下し文・現代語訳と解説
著作名: 走るメロス
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現代語訳(口語訳)

河東の薛存義が今にも(任地へ)行こうとしています。
私、柳は肉をまないたに載せ、酒を盃に満たし、ついて言って之(薛存義)を湘江のほとりまで見送り、これらを振る舞いました。
そして告げて言いました。

「そもそも地方で役人になる者について、君はその職務の内容を知っていますか。
思うに、民衆に使われること(民衆のために働くこと)であって、民衆を使うことではないということです。
総じて民衆で土地を耕して生計を立てている者は、その(収穫高の)十分の一を(税として)出して役人を雇い、我々に公平な政治をさせるのです。
(ところが)今、その報酬を受け取りながら、そのこと(仕事)を怠っている者がいて、世の中皆同じようなものです。
その上、ただこれ(仕事)を怠けるだけでしょうか、(世の中の風潮にしたがって報酬を)盗んでもいるのです。

例えば家で使用人を雇い、あなたの報酬を受け取りながら、あなたが命じた仕事を怠り、またあなたの貨器を盗んだとしたら、きっと大変怒って使用人を罰するでしょう。
私が思うに、今の天下はこれに似たものが多いのです。

民衆が進んで怒りを思うままにぶつけて(役人を)やめさせようとしないのは、どういうことでしょうか。
(それは)力関係が同じではないからです。
力関係が同じではなくても(報酬の分は働かなければならないという)道理は同じです。
(怒りの矛先のない)民衆をどうしたらよいのでしょうか。
道理に通じている者であれば、恐れてはばかられずにいられるでしょうか、いやいられないでしょう。

存義よ、(あなたは)二年間、零陵の仮の長官でありました。
朝早く起きて夜まで思いをめぐらし、肉体を働かせ精神を使い、訴訟は公平に(裁き)、税は等しく(徴収)しました。
老人や若年の者にも偽りの心を抱き激しく憎むことはありませんでした。
あなたが何もせずに報酬をとることがなかったのは、明らかです。
あなたが恐れてはばかることができることは、はっきりとしていました。

私は身分が低く辱めの身なので、役人の功績を議論する会議に参加することができません。
あなたが(任地に)行くにあたって、酒と肉で(あなたを)たたて、重ねてこの文を贈るのです。」と。


単語・文法解説

将行「将」は再読文字で、「将A」で「まさにAせんとす」と読む
まな板
ここでは中国の川「湘江」を指している
「おおよそ」と読み、「一般に、総じて、そもそも」と訳す
「けだシ」と読み、「思うに〜」と訳す
豈唯怠之、又従而盗之「豈唯A、又B」で「Aするだけであろうか、またBもしている」と訳す
「進んで〜する」と訳す
「つとニ」と読み、「早く」と同じ意味
このとき柳宗元は左遷の身にあった
考績幽明之説役人の功績を検証する会議


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