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蜻蛉日記原文全集「八月といふは明日になりにためれば」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

八月といふは明日になりにためれば

八月といふは明日になりにためれば、それより四日、例の物忌(ものいみ)とか、あきて、ふたたびばかり見えたり。かへりあるじは果てて、

「いとふかき山寺に修法せさすとて」


など聞く。三四日なりぬれどおとなくて、雨いといたくふる日、

「心ぼそげなる山住みは人とふものとこそききしか、さらぬはつらき物といふ人もあり」


とある返りごとに、

「きこゆべきものとは人よりさきに思ひよりながら、ものと知らせんとてなん。露けさはなごりしもあらじと思う給ふれば、よその雲むらもあいなくなん」


とものしけり。またもたち返りなどあり。

さて三日許のほどに、

「今日なん」


とて、夜さり見えたり。つねにしも、いかなる心のえ思ひあへずなりにたれば、われはつれなければ、人はた罪もなきやうにて、七八日のほどにぞわづかにかよひたる。


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・蜻蛉日記原文全集「八月といふは明日になりにためれば」

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長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店
The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/

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