トゥール・ポワティエ間の戦い（732年）は、フランク王国のカール＝マルテルがウマイヤ朝の軍を撃退した重要な戦闘です。この戦いは、キリスト教世界とイスラム教世界との対立において重要な転換点となり、ヨーロッパの歴史に多大な影響を与えました。


8世紀初頭、イスラム教徒は北アフリカからイベリア半島に進出し、711年にはウマイヤ朝がその地を征服しました。その後、彼らはフランク王国に向かって北上を始め、732年にはフランス南部に迫っていました。この時期、フランク王国は内部で分裂していましたが、カール・マルテルは王国を再統一し、外敵からの防衛のために軍を編成しました。




カール・マルテルはトゥール近郊でイスラム軍と遭遇し、地形を生かした防御的な陣形を敷きました。彼の軍は約15,000人、対するイスラム軍は30,000人以上と見積もられています。戦闘は数日間続き、カール・マルテルは重装歩兵を利用して敵の騎兵に対抗しました。最終的に、イスラム軍は指揮官を失い、士気が低下して撤退を余儀なくされました。


この戦いの勝利によって、フランク王国はイスラム教徒の侵攻を一時的に防ぎ、フランス北部への進出を阻止しました。カール・マルテルの名声も高まり、彼はフランク王国の実質的な支配者としての地位を確立しました。この戦闘はキリスト教とイスラム教の対立を強化し、その後のヨーロッパ史にも大きな影響を与えました。


トゥール・ポワティエ間の戦いは、単なる軍事的勝利に留まらず、フランク王国に一時的な安定をもたらしました。さらに、この戦いはヨーロッパ全体の歴史にも影響を及ぼしました。特に、キリスト教徒とイスラム教徒との対立が一層深まり、後の十字軍運動などを引き起こす要因となります。また、カール・マルテルの孫であるシャルルマーニュがフランク王国をさらに拡大し、西ヨーロッパ全体に影響力を及ぼすことになります。

この戦いは、ヨーロッパ史における重要な転換点となり、後の世代にわたって西洋文明がどのように発展していくかの基盤を築くこととなりました。形成されたキリスト教徒とイスラム教徒との関係は、その後も長い間続くことになります。