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古文単語「ひきいる/引き入る」の意味・解説【ラ行四段活用/ラ行下二段活用】 |
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著作名:
走るメロス
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「ひきいる」には、
①ラ行四段活用
②ラ行下二段活用
の用法がある。
未然形 | ひきいら |
連用形 | ひきいり |
終止形 | ひきいる |
連体形 | ひきいる |
已然形 | ひきいれ |
命令形 | ひきいれ |
引き下がる、引き退く、奥に引っ込む。
[出典]:宮に初めて参りたるころ 枕草子
「さらにえふともみじろかねば、今すこし奥に引き入りて...」
[訳]:全く少しも身じろぎすらできないので、もう少し奥に引っ込んで...
「さらにえふともみじろかねば、今すこし奥に引き入りて...」
[訳]:全く少しも身じろぎすらできないので、もう少し奥に引っ込んで...
ひきこもる。
[出典]:車争ひ 源氏物語
「皆さし退けさする中に、網代のすこしなれたるが、下簾のさまなどよしばめるに、いたう引き入りて、ほのかなる袖口、裳の裾、汗衫など、物の色、いと清らにて、ことさらにやつれたるけはひしるく見ゆる車、二つあり。 」
[訳]:皆(周りの車)を立ち退かせる中に、網代車で少しよれよれになったもので、下簾の様子が由緒ありげなうえに、(乗りては牛車に)ずっと引きこもっており、わずかに見える袖口や裳の裾、汗衫など、物の色がたいそう気品があって美しく、故意に質素な身なりをしている様子が際立って見える車が、2つあります。
「皆さし退けさする中に、網代のすこしなれたるが、下簾のさまなどよしばめるに、いたう引き入りて、ほのかなる袖口、裳の裾、汗衫など、物の色、いと清らにて、ことさらにやつれたるけはひしるく見ゆる車、二つあり。 」
[訳]:皆(周りの車)を立ち退かせる中に、網代車で少しよれよれになったもので、下簾の様子が由緒ありげなうえに、(乗りては牛車に)ずっと引きこもっており、わずかに見える袖口や裳の裾、汗衫など、物の色がたいそう気品があって美しく、故意に質素な身なりをしている様子が際立って見える車が、2つあります。
遠慮がちにする、控えめな態度をとる。
[出典]:紫式部日記
「などか必ずしも、面憎くひきいりたらむが賢からむ。」
[訳]:どうして必ずしも、にくたらしいまでに遠慮がちにすることが賢いことでしょうか。
「などか必ずしも、面憎くひきいりたらむが賢からむ。」
[訳]:どうして必ずしも、にくたらしいまでに遠慮がちにすることが賢いことでしょうか。
息を引き取る、死ぬ。
未然形 | ひきいれ |
連用形 | ひきいれ |
終止形 | ひきいる |
連体形 | ひきいるる |
已然形 | ひきいるれ |
命令形 | ひきいれよ |
中に引き入れる、引き込む。
[出典]:桐壺 源氏物語
「命婦、かしこに参で着きて、門引き入るるより、けはひあはれなり。」
[訳]:命婦が、例のところ(桐壺の更衣の母親の家)に参り着いて、(牛車を)門から中に引き入れるやいなや、(周りの)様子がしみじみと胸を打ちます。
「命婦、かしこに参で着きて、門引き入るるより、けはひあはれなり。」
[訳]:命婦が、例のところ(桐壺の更衣の母親の家)に参り着いて、(牛車を)門から中に引き入れるやいなや、(周りの)様子がしみじみと胸を打ちます。
(物の怪などが人を死に)
引き入れる。
[出典]:夕霧 源氏物語
「さる弱目に、例の御物の怪の引き入れたてまつる。」
[訳]:そのように弱っている折に、例の物の怪が(御息所を死の世界に)引き入れ申し上げる。
「さる弱目に、例の御物の怪の引き入れたてまつる。」
[訳]:そのように弱っている折に、例の物の怪が(御息所を死の世界に)引き入れ申し上げる。
(烏帽子や冠などを)
かぶる。
[出典]:多久助が申しけるは 徒然草
「烏帽子をひきいれたりければ...」
[訳]:烏帽子をかぶっていたので...
「烏帽子をひきいれたりければ...」
[訳]:烏帽子をかぶっていたので...
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