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古文単語「さること/然る事」の意味・解説【連語】
著作名: 走るメロス
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さること/然る事

このテキストでは、古文単語「さること/然る事」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

成り立ち

連体詞「さる」(ラ行変格活用「さり」の連体形とする説もある)と名詞「事」が一語になったもの。
連語

意味1

(前の言動を受けて)
そのようなこと、そんなこと

[出典]いみじき成敗 沙石集
「『七つこそありしに、六つあるこそ不審なれ。一つをば隠されたるにや。』と言ふ。 『さることなし。もとより六つなり。』...」

[訳]:「(軟挺は)七つあったはずだが、(ここに)六つあるのは疑わしい。一つお隠しになられたのではないですか。」と(持ち主の男は)言います。(夫は)「そのようなことはありません。もともと六つですよ。」...


意味2

(前の言動を肯定して)
もっともなこと、そのとおり、しかるべきこと

[出典]いでや、この世に生まれては 徒然草
「『人には木の端のやうに思はるるよ。』と、清少納言が書けるも、げにさることぞかし。」

[訳]:「(法師というものは)人には木の端のように(たいしたことがないものと)思われているよ。」と清少納言が書いているのも、本当にもっともなことです。




意味3

言うまでもないこと、もちろんのこと

[出典]:重衡被斬 平家物語
「日ごろの悪業はさることなれど、今の有様を見奉るに...」

[訳]:常々の悪行は言うまでもないことだが、今日の有様を拝見するにつけ...


意味4

たいしたこと、それほどのこと

[出典]:宇治拾遺物語
さることはなけれど、高く大きに盛りたる物ども持て来つつ据ゆめり」

[訳]たいしたことはないが、高く大きく盛った品々を持って来ては据えるようだ。


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