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古文単語「そむく/背く」の意味・解説【カ行四段活用/カ行下二段活用】
著作名: 走るメロス
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そむく/背く

このテキストでは、古文単語「そむく/背く」の意味、活用、解説とその使用例を記している。

「そむく」には
①カ行四段活用
②カ行下二段活用
の用法がある。

①カ行四段活用

未然形そむか
連用形そむき
終止形そむく
連体形そむく
已然形そむけ
命令形そむけ


意味1:自動詞

背を向ける、後ろを向く

[出典]丹波に出雲といふ所あり 徒然草
「御前なる獅子・狛犬、背きて、後さまに立ちたりければ...」

[訳]:(社殿の)御前にある獅子と狛犬が、背中を向けて、後ろ向きに立っていたので...


意味2:自動詞

(心が)離れる、別れる

[出典]:夢浮橋 源氏物語
「御心ざし深かりける御仲を背きたまひて、あやしき山賤の中に出家したまへること...」

[訳]:ご愛情の深かったお二方の仲を離れなさって、下賤な山里の家で出家なさったことは...




意味3:自動詞

反する、謀反する、反逆する、従わない

[出典]:烽火之沙汰 平家物語
「叡慮に背く事あれば、高祖重う警めて、深う罪せられにき。」

[訳]:高祖のお気持ちに反することがあれば、高祖は厳しく戒め、はなはだしく処罰されたのです。


意味4:自動詞

出家する、世を捨てる

※この用法の場合、多くが「世をそむく」の形で用いられる。
[出典]:日野山の閑居 方丈記
「五十の春を迎へて、家を出でて、世を背けり。」

[訳]:五十歳の春を迎えて、家を出て、出家をした。




②カ行下二段活用

未然形そむけ
連用形そむけ
終止形そむく
連体形そむくる
已然形そむくれ
命令形そむけよ


意味1:他動詞

後ろや横を向かせる、遠ざける

[出典]:箒木 源氏物語
「灯ほのかに壁にそむけ...」

[訳]:灯火はかすかにして壁の方に後ろを向かせ(て置き)...


意味2:他動詞

離反する

[出典]:新島守 増鏡
「督は、日に添へて人にもそむけられゆくに...」

[訳]:督(源頼家)は、日がたつにつれて人からも離反されていくが...


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