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蜻蛉日記原文全集「県ありきのところ」 |
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著作名:
古典愛好家
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蜻蛉日記
県ありきのところ
県(あがた)ありきのところ、
「初瀬へ」
などあれば、もろともにとて、つつしむところにわたりぬ。ところかへたるかひなく、午(うま)時許(ときばかり)に、にはかにののしる。
「あさましや、誰かあなたの門はあけつる」
など、主(あるじ)もおどろきさはぐに、ふとはひいりて、日ごろ例の香もりすゑておこなひつるも、にはかになげちらし、数珠(ずず)も間木(まき)てうちあげなど、らうがはしきに、いとぞあやしき。その日、のどかにくらして、またの日、かへる。
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