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蜻蛉日記原文全集「年かへりてなでふこともなし」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

年かへりてなでふこともなし

年かへりて、なでふこともなし。人の心のことなるときは、よろづをひらかにぞありける。このついたちよりぞ、殿上(てんじょう)ゆるされてある。みそぎの日、例の宮より、

「物みられば、その車にのらん」


との給へり。御ふみのはしに、かかることあり。

わかとしの  

例の宮にはおはせぬなりけり。町の小路わたりかとてまゐりたれば、うべなく

「おはします」


といひけり。まづ硯こひて、かく書きていれたり。

きみがこのまちのみなみにとみにおそき はるにはいまぞたづねまゐれる

とて、もろともに出でたまひにけり。



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