更新日時:
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帝国主義ってなんだ? |
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著作名:
ピアソラ
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帝国主義、英語で言うとImperialism。そもそも辞書によると、「帝国」という言葉は複数のより小さな国や民族などを含めた広大な領域を統治する国家のことを指します。
帝国主義は、1870~1890年代以降、第一次世界大戦までの時期に行われたアメリカやヨーロッパ列強による世界分割の動きのことです。
帝国主義が始まった背景には諸説ありますが、その前に、当時の世界の状況を見てみましょう。
18世紀にイギリスで始まった産業革命を第一次産業革命といい、軽工業を中心に蒸気機関を用いた産業構造の変化は、当時の世界に大きな変化をもたらしました。
19世紀後半になると、動力源が石炭と蒸気から石油や電気に変わっていきます。
この産業構造の変化を第二次産業革命といいます。
軽工業から重工業へ産業の中心が変化し、「世界の工場」イギリスに代わって、アメリカやドイツが急成長しはじめます。
この時代には、さまざまな新技術も生まれました。
製鋼法、ガソリンエンジン、自動車、内燃機関(ディーゼルエンジン)、飛行船、飛行機、地下鉄、電車、電話、無線、発電機、白熱電燈、蓄音機など、現代にも通じる重要な新技術です。
(ライト兄弟による世界初飛行)
このような高度な新産業には多くの資本が必要だったのです。
重工業などの設備や工場などを建設するのには、めちゃくちゃお金が必要ですよね。
なので、小さな企業がどんどん淘汰され、大きな資本を持つ少数の巨大企業が生まれていきます。
この巨大企業は、カルテル(企業連合)やトラスト(企業合同)など、どんどん他の企業と密接な関係を持つようになり、ドイツやアメリカでは少数の企業が資本を独占する、独占資本主義という状況が起こってきました。
国が領土的な拡大を行うという事は、古くはローマ時代から行われてきたことなんですが、19世紀に帝国主義が始まった背景にはいくつかの説があります。
先に書いたように、第二次産業革命を経て欧米諸国で独占資本主義が進み、少数の巨大資本をもつ企業が現れるようになると、資本が過剰に蓄積されるようになりました。
国外に新たに投資先を探す必要性が出てきたんですね。
また、新しい技術の登場によって、石油やゴム、ニッケルや亜鉛などの金属類が原料に用いられるようになると、この原料調達先としてアフリカやアジアに拡大していく動きにつながっていったんです。
製品を販売する市場、原料供給地、国内の過剰資本の投下先として、世界分割が行われるようになり、帝国主義が始まったという説です。
もう一つの説は、この時代欧米各国に起こりつつあった労働問題や社会主義運動に対応するために、各国政府が社会政策を手厚く用意する必要があったため、その資金獲得に植民地拡大に伴って得た利益をあてようとしたという説です。
このように、帝国主義が起った背景には諸説ありますが、この時代の世界分割とそれにともなう各国の対外膨張政策が、帝国主義国家間の対立を生み、その後アフリカ分割をめぐるファショダ事件や、第一次世界大戦などにつながる大きな要因になりました。
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