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政府の財政が果たす役割 |
著作名:
モンテスQ
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財政政策
国は、国民からの税金や国債を発行したお金を収益として得ています。この国家の収益のことを歳入といいますが、この財源を使って政府は次の3つの機能を果たしています。
所得の再分配機能
私たちは普段の生活の中で、多くの税金を払っています。消費税をはじめ、所得に対してかかる所得税や年金・社会保険料も税金の1つと考えてもよいかもしれません。
国民から徴収した税金は、とくに社会保障費という形で私たちに還元されます。病院に行ったときに患者の負担が3割ですむのも、働けなくなったときに生活保護が受けられるのも、職を失ったときに雇用保険が受けられるのも、税金という形でプールされた財源から負担してもらっているからです。
日本では、高額所得者のほうが低額所得者よりも多く税金を負担するシステムになっています。所得税には累進課税といって、収入が多い人に対して税金の割合が高くなるシステムを採用しています。
このように一度国民から集めたお金を、違った形で国民に還元しているシステムを所得の再分配と言います。
資源配分の機能
「資源」ときくと石油や木材といったものを想像しがちですが、ここでいう資源とは民間の企業が行うだけでは不十分であろう公共サービスのことです。
例えば消防や警察といったものや、道路の工事などがそれに該当します。これらの整備を国が行うことで、国民生活の安定と向上をはかっています。
景気調整の機能
ビルト=イン=スタビライザー
政府の財政には、自動的に景気を安定させる税制上の仕組みがあります。この仕組のことをビルト=イン=スタビライザーと言います。ビルト=イン=スタビライザーを可能にしているのが累進課税制度と社会保障制度です。
景気が良い時には国民の所得が増えて、失業者が減ります。
累進課税制度では、所得が増えるとそれに対する税金の額も増えるので、消費者からすれば、「所得は増えたけど、それと同時に税金も増えるので」ということで、消費や投資を抑えることができます。
社会保障制度では、失業者が減ると失業者として保険を受ける人が減りますので、国として失業保険という出費が減ります。
国民の消費や投資が減り、国の出費も抑えることができる。こうなると市場のマネーサプライは減り、行き過ぎた景気を抑えることができます。
一方で不景気のときには所得が減って、失業者が増えます。先ほどと同じように考えてみましょう。
累進課税制度では、所得が減るとそれに対する税金の額も減るので、消費者からすれば、「所得は減ったけど、それと同時に税金も減ったので」ということで、自由に使えるお金の量はひょっとしたら増えるかもしれません。そうすると消費や投資が活発になります。
社会保障制度では、失業者が増えると失業保険という国の出費が増えます。
消費量や投資が増え、国が市場に多くお金をまくことになる。こうなると市場のマネーサプライは増えて、低迷している景気に刺激を与えることになります。
フィスカル=ポリシー
しかし、ビルト=イン=スタビライザーだけでは実際のところ不十分なので、これを補う別の仕組みが必要になってきます。それがフィスカル=ポリシーです。
フィスカル=ポリシーとは、景気を調整するために政府が意図的に実施する政策のことで、裁量的財政政策ともいいます。
景気が良すぎるときには、公共投資の額を縮小したり増税をすることで消費者の需要を抑え、市場に出回るマネーサプライを減らします。
一方で不景気のときには、公共投資の額を増やしたり、減税をすることで消費者の需要を増やし、市場に出回るマネーサプライの量を増やしてあげます。
好景気のときには、マネーサプライを減らす。不景気のときにはマネーサプライを増やす。「ビルト=イン=スタビライザー」も「フィスカル=ポリシー」もそういう点で目指すゴールは同じなのです。これを行うためにどのような政策をとっているのかを考えると、理解しやすくなると思います。
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