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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

平家物語『内侍所都入・能登殿最期』(新中納言、「見るべきほどのことは見つ〜)の現代語訳

著者名: 走るメロス
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平家物語『内侍所都入』

ここでは、平家物語の中の『内侍所都入』の「新中納言、「見るべきほどのことは見つ。今は自害せん」とて〜」から始まる部分の現代語訳(口語訳)と解説を行っています。書籍によっては『能登殿最期』や『壇ノ浦の合戦』の一部としているものもあるようです。

前回のテキスト
「今はかうと思はれければ~」わかりやすい現代語訳と解説

原文

新中納言、

「見るべきほどのことは見つ。今は自害せん。」


とて、乳母子の伊賀平内左衛門家長を召して、

「いかに、約束は違ふまじきか。」


とのたまへば、

「子細にや及び候ふ。」


と中納言に鎧二領着せ奉り、我が身も鎧二領着て、手を取り組んで海へぞ入りにける。これを見て、侍ども二十余人、後れ奉らじと、手に手を取り組んで、一所に沈みけり。その中に、越中次郎兵衛・上総五郎兵衛・悪七兵衛・飛騨四郎兵衛は、何としてか逃れたりけむ、そこをもまた落ちにけり。海上には赤旗・赤印投げ捨て、かなぐり捨てたりければ、竜田川のもみぢ葉を嵐の吹き散らしたるがごとし。汀に寄する白波も、薄紅にぞなりにける。

現代語訳(口語訳)

新中納言(平知盛)は、

「見届けるべきことは見た。今は自害しよう。」


といって、乳母子の伊賀平内左衛門家長をお呼びになり、

「どうだ、(生死を共にするという)約束を守らないということはないだろうな。」


とおっしゃると(家長は)

「あれこれと申し上げることがありましょうか。」


と(申し上げて)、中納言に鎧を2つ着せ申し上げて、自分も鎧を2つ着て、手を取り合って海へと入ってしまいました。
これを見て、(平家の)侍たち20余人が、(主君の死に)遅れ申し上げるまいと、手に手を撮り合って、同じ場所に沈みました。その中でも、越中次郎兵衛・上総五郎兵衛・悪七兵衛・飛騨四郎兵衛は、どのようにして逃げたのでしょうか、そこをもまた逃げ落ちて行きました。海上には(兵士の)赤旗や赤印が投げ捨て、乱暴に捨ててあるので、(其の様子は)竜田川の紅葉の葉を嵐が吹き散らかしたかのようです。水際に寄せる白波も、(死者の血で)薄紅色になっていました。

品詞分解

品詞分解はこちら
新中納言、「見るべきほどのことは見つ〜」の品詞分解

単語・文法解説

違ふまじきか 「まじき」は打消推量の助動詞「まじ」の連体形
逃れたりけむ「けむ」は過去推量の助動詞「けむ」の連体形

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・平家物語『内侍所都入・能登殿最期』(新中納言、「見るべきほどのことは見つ〜)の現代語訳

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佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店
『教科書 精選古典B』大修館

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