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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

発心集『蓮花城、入水のこと』テストで出題されそうな問題

著者名: 走るメロス
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発心集『蓮花城、入水のこと』

このテキストでは、発心集『蓮花城、入水のこと』でテストに出題されそうな問題をピックアップしていきます。

次の文章を読み、問いに答えよ


近きころ、蓮花城といひて、人に知られたる聖ありき。登蓮法師、相知りて、ことにふれ、情けをかけつつ過ぎけるほどに、年ごろありて、この聖の言ひけるやうは、

「今は年に添へつつ弱くなりまかれば、死期の近づくこと、疑ふべからず。終はり正念にてまかり隠れむこと、極まれる望みにて侍るを、心のすむとき、入水をして終はり取らむと侍る。」

と言ふ。登蓮聞きおどろきて、

「あるべきことにもあらず。いま一日なりとも、念仏の功を積まむとこそ願はるべけれ。さやうの行は、愚痴なる人のする業なり。」

と言ひていさめけれど、さらにゆるぎなく思ひかためたることと見えければ、

「かく、これほど思ひ取られたらむに至りては、とどむるに及ばず。さるべきにこそあらめ。」

とて、そのほどの用意なんど、力を分けて、もろともに沙汰しけり。


つひに、桂川の深き所に至りて、念仏高く申し、時経て水の底に沈みぬ。その時、聞き及ぶ人、市のごとく集まりて、しばらくは貴み悲しぶこと限りなし。登蓮は、年ごろ見慣れたりつるものを、とあはれにおぼえて、涙を押さへつつ帰りにけり。


かくて、日ごろ経るままに、登蓮、物の怪めかしき病をす。あたりの人あやしく思ひて、事としけるほどに、霊あらはれて、

「ありし蓮花城。」

と名のりければ、

このこと、げにとおぼえず。年ごろ相知りて、終はりまでさらに恨みらるべきことなし。いはむや、発心のさま、なほざりならず、貴くて終はり給ひしにあらずや。かたがた、何のゆゑにや思はぬさまにて来たるらむ。」

と言ふ。物の怪の言ふやう、

「そのことなり。よく制し給ひしものを、我が心のほどを知らで、いひがひなき死にをして侍り。さばかり、人のためのことにもあらねば、その際にて思ひ返すべしともおぼえざりしかど、いかなる天魔の仕業にてありけむ、まさしく水に入らむとせし時、たちまちに悔しくなむなりて侍りし。されども、さばかりの人中に、いかにして我が心と思ひ返さむ。

あはれ、ただ今、制し給へかし、と思ひて目を見合はせたりしかど、知らぬ顔にて、『今はとく、とく。』ともよほして沈みてむ恨めしさに、何の往生のこともおぼえず。すずろなる道に入りて侍るなり。このこと、我がおろかなる咎なれば、人を恨み申すべきならねど、最期に口惜しと思ひし一念によりて、かくまうで来たるなり。」

と言ひける。

問題

Q1:「聖」、「入水」、「咎」を現代仮名遣いで記しなさい。


Q2:「終はり正念にてまかり隠れむこと」を現代語訳しなさい。


Q3:「さやうの行」とは何を指すか。文中から抜き出しなさい。


Q4:「水の底に沈みぬ」の主語を答えなさい。


Q5:「年ごろ見慣れたりつるものを」を現代語訳しなさい。


Q6:「このこと、げにとおぼえず」とあるがそれは何故か述べなさい。


Q7:「何のゆゑにや」とあるが、蓮花城が物の怪として出てきた理由を述べなさい。


Q8:「思わぬさま」とはどのような様子を指しているか。


次ページ:解答と現代語訳

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佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店
『教科書 精選古典B 古文編』 東京書籍

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