新規登録 ログイン

9_80 その他 / その他

平家物語原文全集「俊寛沙汰・鵜川軍 4」

著者名: 古典愛好家
Text_level_1
マイリストに追加
平家物語

俊寛沙汰・鵜川軍

鵜川といふは、白山の末寺なり。この事訴へんとてすすむ老僧誰々ぞ。智釈・学明・宝台房・正智・学音・土佐阿闍梨ぞすすみける。白山三社八院の大衆ことごとく起りあひ、都合その勢二千余人、同じき七月九日の暮方(くれがた)に、目代師経(もろつね)が館近うこそ押し寄せたれ。今日は日暮れぬ、明日のいくさと定めて、その日は寄せてゆらへたり。露吹き結ぶ秋風は、射向の袖を翻(ひるがへ)し、雲ゐを照らす稲妻は、甲(かぶと)の星をかがやかす。目代叶かなはじとや思ひけん、夜逃げにして京へ上る。あくる卯の刻に押し寄せて、時をどっとつくる。城の内には音もせず。人を入れて見せければ、

「皆落ちて候ふ」


と申す。大衆力及ばで引き退く。さらば山門へ訴へんとて、白山中宮の神輿を飾り奉り、比叡山へ振りあげ奉る。同じき八月十二日の午の刻ばかり、白山の神輿、既に比叡山東坂本につかせ給ふといふ程こそありけれ、北国の方より、雷(らい)夥(おびただ)しく鳴って、都をさしてなりのぼる。白雪くだりて地をうづみ、山上・洛中おしなべて、常盤の山の梢まで、皆白妙になりけり。



Tunagari_title
・平家物語原文全集「俊寛沙汰・鵜川軍 4」

Related_title
もっと見る 


Keyword_title

Reference_title
梶原正昭,山下宏明 1991年「新日本古典文学大系 44 平家物語 上」岩波書店

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 1,508 pt 
 役に立った数 0 pt 
 う〜ん数 0 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!