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平家物語原文全集「二代后 3」

著者名: 古典愛好家
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平家物語

二代后

大宮かくと聞こし召されけるより、御涙に沈ませおはします。

「先帝に後れ参らせにし久寿の秋のはじめ、同じ野原の露とも消え、家をも出で、世をものがれたりせば、今かかる憂き耳をば聞かざらまし」


とぞ、御嘆きありける。父の大臣こしらへ申させ給ひけるは、

「「世に従はざるをもって、狂人とす」

と見えたり。既に詔命を下さる。子細を申すにところなし。ただ速やかに参らせ給ふべきなり。もし王子御誕生ありて、君も国母(こくも)といはれ、愚老も外祖とあふがるべき瑞相にてもや候ふらむ。これひとへに愚老をたすけさせおはします、御孝行の御いたりなるべし」


と申させ給へども、御返事もなかりけり。大宮そのころ、なにとなき御手習ひのついででに

うきふしにしづみもやらでかは竹の 世にためしなき名をやながさん

世にはいかにしてもれけるやらむ、哀れにやさしきためしにぞ、人々皆申しあへりける。


続き

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・平家物語原文全集「二代后 3」

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梶原正昭,山下宏明 1991年「新日本古典文学大系 44 平家物語 上」岩波書店

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