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平家物語原文全集「祇王 5」

著者名: 古典愛好家
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平家物語

祇王

入道出であひ対面して、

「けふの見参は、あるまじかりつるを、祇王がなにと思ふやらん、あまりに申しすすむる間、加様(かぞう)に見参しつ。見参するほどにては、いかでか声をも聞かであるべき。今様一つうたへかし」


との給へば、仏御前、

「承りさぶらふ」


とて、今様一つぞうたふたる。

君をはじめて見るをりは 千代も経ぬべし姫小松

おまへの池なる亀岡に 鶴こそむれゐてあそぶめれ


と、おし返しおし返し、三返うたひすましたりければ、見聞(けんもん)の人々、みな耳目をおどろかす。入道もおもしろげに思ひ給ひて、

「わごぜは今様は上手でありけるよ。このぢやうでは、舞もさだめてよかるらむ。一番見ばや。つづみうち召せ」


とて召されけり。うたせて一番舞ふたりけり。


続き

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・平家物語原文全集「祇王 5」

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梶原正昭,山下宏明 1991年「新日本古典文学大系 44 平家物語 上」岩波書店

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