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蜻蛉日記原文全集「廿日はさてくれぬ」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

廿日はさてくれぬ

廿日はさてくれぬ。

一日の日より四日、例の物忌ときく。ここにつどひたりし人々は南ふたがる年なれば、しばしもあらじかし、廿日、県(あがた)ありきのところへみなわたられにたり。心もとなきことはあらじかしと思ふに、わが心うきぞまづおぼえけんかし。かくのみうくおぼゆる身なれば、このいのちをゆめ許をしからずおぼゆるに、この物忌どもは柱におしつけてなどみゆるこそ、ことしもをしからん身のやうなりけれ。

その廿五六日に物忌なり。はつる夜しも門(かど)のおとすれば、

「かうてなん、かたうさしたる」


とものすれば、たふるるかたにたちかへるおとす。

又の日は例の方ふたがるとしるしる、ひるまに見えて、

「御さいまつ」


といふほどにぞかへる。それより例のさはりしげくきこえつつ、日へぬ。



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・蜻蛉日記原文全集「廿日はさてくれぬ」

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長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店
The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/

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