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蜻蛉日記原文全集「また二日ばかりありて」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

また二日ばかりありて

また二日ばかりありて

「心のおこたりにはあれど、いとことしげきころにてなん。夜さり物せんにいかならん、おそろしさに」


などあり。

「心ちあしきほどにて、えきこえず」


と物して、思ひたえぬるに、つれなく見えたり。あさましと思ふに、うらもなくたはぶるれば、いとねたさに、ここらの月ごろ念じつることを言ふに、いかなる物とたえていらへもなくて、寝たるさましたり。聞き聞きて、寝たるがうちおどろくさまにて、

「いづら、はや寝たまへる」


と言ひわらひて、人わろげなるまでもあれど、岩木のごとして明かしつれば、つとめて物もいはで帰りぬ。

それよりのち、しひてつれなくて、

「例のことはり、これとしてかくして」


などあるもいとにくくて、いひ返しなどして、言(こと)たえて廿余日になりぬ。

「あらたまれども」


といふなる日のけしき、うぐひすの声などを聞くままに、涙のうかぬときなし。



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・蜻蛉日記原文全集「また二日ばかりありて」

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The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/
長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店

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