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蜻蛉日記原文全集「ともあれかくもあれただいとあやしきを」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

ともあれかくもあれ、ただいとあやしきを

ともあれかくもあれ、ただいとあやしきを、

「入る日をみるやうにてのみやは、おはしますべき。ここかしこにまうでなどもし給へかし」


など、ただこのころはことごとなく、明くればいひ暮るれば嘆きて、さらばいとあつきほどなりとも、げにさ言ひてのみやはと思ひたちて、石山に十日ばかりと思ひたつ。

しのびてと思へば、はらからといふばかりの人にもしらせず、心ひとつに思ひ立ちて、 明けぬらんと思ふほどに出ではしりて、加茂川のほどばかりなどにぞ、いかで聞きあへつらん、をゐて物したる人もあり。ありあけの月はいとあかけれど、あふ人もなし。川原には死人(しにびと)もふせりと見聞けど、おそろしくもあらず。


粟田(あはた)山といふほどに行きさりて、いとくるしきを、うち休めば、ともかくも思ひわかれず、ただ涙ぞこぼるる。人や見ると、涙はつれなしづくりて、ただ走りてゆきもてゆく。山科(やましな)にて明けはなるるにぞ、いと顕証なる心ちすれば、我(あれ)か人かにおぼゆる。人はみなおくらかし先立(さいだ)てなどして、かすかにてあゆみゆけば、あふもの、見る人あやしげに思ひてささめきさわぐぞいとわびしき。


 
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・蜻蛉日記原文全集「ともあれかくもあれただいとあやしきを」

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The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/
長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店

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