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蜻蛉日記原文全集「つくづくと思ひつづくることは」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

つくづくと思ひつづくることは

つくづくと思ひつづくることは、なほいかで心ととく死にもしにしがなと思ふよりほかのこともなきを、ただこの一人ある人を思ふにぞ、いとかなしき。人となして、うしろやすからん女(め)などにあづけてこそ、死にも心やすからんとは思ひしか、いかなる心ちしてさすらへんずらんと思ふに、なほいと死にがたし。

「いかがはせん、かたちをかへて、世を思ひはなるやと心みん」


とかたらへば、まだふかくもあらぬなれど、いみじうさくりもよよと泣きて、

「さなりたまはば、まろも法師になりてこそあらめ、なにせんにかは世にもまじろはん」


とて、いみじくよよと泣けば、我もえせきあへねど、いみじさにたはぶれに言ひなさんとて、

「さて鷹飼(たかか)はでは、いかがし給はむずる」


といひたれば、やをら立ちはしりて、しすゑたる鷹をにぎりはなちつ。見る人も涙せきあへず。まして日くらしかなし。心ちにおぼゆるやう、

あらそへば思ひにわぶるあまぐもに まづそるたかぞかなしかりける

とぞ。

日くるるほどに、文(ふみ)みえたり。天下のそらごとならんと思へば、

「ただいま心ちあしくて、え今は」


とてやりつ。


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・蜻蛉日記原文全集「つくづくと思ひつづくることは」

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The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/
長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店

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