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蜻蛉日記原文全集「春うちすぎて夏ごろ」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

春うちすぎて夏ごろ

春うちすぎて夏ごろ、宿直(とのゐ)がちになるここちするに、つとめて、一日(ひとひ)ありて暮れにはまゐりなどするをあやしうと思ふに、ひぐらしの初声きこえたり。いとあはれとおどろかれて、

あやしくもよるのゆゑへをしらぬかな けふひぐらしのこゑはきけども

といふに、出でがたかりけんかし。かくてなでふことなければ、人のこころをなほたゆみなくこりにたり。月夜のころよからぬ物語して、あはれなるさまのことどもかたらひてもありしころ、思ひ出でられて、ものしければ、かくいはる。

くもりよの月とわがみのゆくすゑと おぼつかなさはいづれまされり

かへりごと、たはぶれのやうに、

をしはかる月はにしへぞゆくさきは われのみこそはしるべかりけれ

など、たのもしげに見ゆれど、わが家とおぼしき所はことになんあんめれば、いと思はずにのみぞ、世はありける。さひはひある人のためには、とし月見し人もあまたの子など持たらぬを、かくものはかなくて、思ふことの みしげし。


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・蜻蛉日記原文全集「春うちすぎて夏ごろ」

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長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店
The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/

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