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蜻蛉日記原文全集「かくていまは」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

かくていまは

かくていまは、この街の小路にわざと色に出でにたり。本(もと)つ人をだにあやしうくやしと思ひげなるときがちなり。いふかたなう心憂しと思へども、なにわざをかはせん。この、いまひとかたの出でいりするをみつつあるに、いまは心やすかるべきところへとて、ゐてわたす。とまる人まして心ぼそし。

「かげも見えがたかべいこと」


など、まめやかにかなしうなりて、車よするほどにかくいひやる。

などかかるなげきはしげさまさりつつ 人のみかるるやどとなるらん

返り事は、をとこぞしたる。

おもふてふわがことのはをあだ人の しげるなげきにそへてうらむな

などいひおきて、みな渡りぬ。思ひしもしるくただひとり、ふしおきす。


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・蜻蛉日記原文全集「かくていまは」

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長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店
The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/

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