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蜻蛉日記原文全集「さて、あはつけかりしすきごとどもの」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

さて、あはつけかりしすきごとどもの

さて、あはつけかりしすきごとどものそれはそれとして、柏木のこだかきわたりより、かくいはせんと思ふことありけり。例の人は案内するたより、もしはなま女などしていはすることこそあれ、これはをやとおぼしき人にたはぶれにもまめやかにもほのめかししに、

「便なきこと」


といひつるをも知らず顔に、馬にはひのりたる人してうちたたかす。

「誰」


などいはするにはおぼつかなからず、さわいだれば、もてわづらひとり入れて持てさわぐ。見れば紙なども例のやうにもあらず、いたらぬところなしと聞きふるしたる手も、あらじとおぼゆるまであしければ、いとぞあやしき。ありけることは

おとにのみきけばかなしなほととぎす ことかたらはんとおもふこころあり

とばかりぞある。

「いかに。かへりごとはすべくやある」


などさだむるほどに、古体なる人ありて、

「なほ」


とかしこまりて書かすれば

かたらはん人なきさとにほととぎす かひなかるべきこゑなふるしそ


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・蜻蛉日記原文全集「さて、あはつけかりしすきごとどもの」

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The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/
長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店

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