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更級日記 原文全集「竹の葉の風」

著者名: 古典愛好家
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更級日記

竹の葉の風

八月になりて、廿余日のあかつきがたの月、いみじくあはれに、山の方はこぐらく、滝の音もにるものなくのみながめられて、

  思ひ知る人に見せばや山里の 秋の夜ふかきありあけの月

京にかへり出づるに、わたりし時は、水ばかり見えし田どもも、皆かりはててけり。

  苗代の水かげばかり見えし田の かりはつるまで長居しにけり


十月つごもりがたに、あからさまにきて見れば、こぐらうしげれりし木の葉ども、残りなく散り乱れて、いみじくあはれげに見えわたりて、心地よげにささらき流れし水も、木の葉にうづもれて、あとばかり見ゆ。

  水さへぞすみたえにける木の葉ちる あらしの山の心細さに


そこなる尼に、

「春まで命あらば必ず来む。花盛りはまづ告げよ」


などいひてかへりにしを、年かへりて、三月十余日になるまで音もせねば、

  契りおきし花の盛りをつげぬかな 春やまだこぬ花やにほはぬ


旅なる所にきて、月の頃、竹のもとちかくて、風の音に目のみさめて、うちとけてねられぬころ、

  竹の葉のそよぐ夜ごとにねさめして なにともなきに物ぞ悲しき

秋ごろ、そこをたちて、ほかへうつろひて、そのあるじに、

  いづことも露のあはれはわかれじを 浅茅(あさぢ)が原の秋ぞ悲しき



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・更級日記 原文全集「竹の葉の風」

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森山京 2001年 「21世紀によむ日本の古典4 土佐日記・更級日記」ポプラ社
長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店

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