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更級日記 原文全集「梅の立ち枝」

著者名: 古典愛好家
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更級日記

梅の立ち枝

継母なりし人は、宮仕へせしがくだりしなれば、思ひしにあらぬことどもなどありて、世の中うらめしげにて、ほかにわたるとて、五つばかりなる児どもなどして、

「あはれなりつる心のほどなむ、忘れむ世あるまじき」

などいひて、梅の木の、つま近くていと大きなるを、

「これが花の咲かむ折は来むよ」

といひおきてわたりぬるを、心の内に、恋しくあはれなりと思ひつつ、しのびねをのみ泣きて、その年もかへりぬ。いつしか梅咲かなむ、来むとありしを、さやあると、目をかけてまちわたるに、花もみな咲きぬれど、音もせず、思ひわびて、花を折りてやる。

  たのめしをなほや待つべき霜がれし 梅をも春は忘れざりけり

といひやりたれば、あはれなることども書きて、

  なほたのめ梅の立ち枝はちぎりおかぬ 思ひのほかの人もとふなり





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・更級日記 原文全集「梅の立ち枝」

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森山京 2001年 「21世紀によむ日本の古典4 土佐日記・更級日記」ポプラ社
長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店

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