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枕草子 原文全集「関白殿、二月廿一日に」 其の一

著者名: 古典愛好家
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関白殿、二月廿一日に

関白殿、二月廿一日に法興院の積善寺といふ御堂にて、一切経供養ぜさせ給ふに、女院もおはしますべければ、二月一日のほどに、二条の宮へ出でさせ給ふ。ねぶたくなりにしかば、なに事も見いれず。
 

つとめて、日のうららかにさし出でたるほどに起きたれば、白う新しうをかしげにつくりたるに、御簾よりはじめて、昨日かけたるなめり、御しつらひ、獅子、狛犬(こまいぬ)など、いつのほどにか入りゐけむとぞをかしき。桜の一丈ばかりにて、いみじう咲きたるやうにて、御階(みはし)のもとにあれば、いととく咲きにけるかな、梅こそただ今はさかりなれ、とみゆるは、つくりたるなりけり。すべて花のにほひなど、つゆまことにおとらず。いかにうるかさりけむ。雨ふらばしぼみなむかしと思ふぞくちをしき。小家などいふものおほかりける所を、今つくらせ給へれば、木立など見所あることもなし。ただ、宮のさまぞけぢかうをかしげなる。
 

殿わたらせ給へり。青鈍(あおにび)の固紋の御指貫、桜の御直衣に、くれなゐの御衣みつばかりを、ただ御直衣にひき重ねてぞたてまつりたる。御前よりはじめて、紅梅の濃き薄き織物、固紋、無紋などを、あるかぎりきたれば、ただ光りみちてみゆ。唐衣は、萌黄、柳、紅梅などもあり。
 
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松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社

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