新規登録 ログイン

9_80 その他 / その他

枕草子 原文全集「成信の中将こそ/大蔵卿ばかり」

著者名: 古典愛好家
Text_level_1
マイリストに追加
成信の中将こそ

成信の中将こそ、人の声はいみじうよう聞きしり給ひしか。おなじ所の人の声などは、つねに聞かぬ人はさらにえ聞きわかず、ことに男は、人の声をも手をも、見わき聞きわかぬものを、いみじうみそかなるも、かしこう聞きわき給ひしこそ。



大蔵卿ばかり

大蔵卿ばかり耳とき人はなし。まことに、蚊のまつげの落つるをも聞きつけ給ひつべうこそありしか。
 

職の御曹司の西面に住みしころ、大殿の新中将、宿直(とのゐ)にて、ものなどいひしに、そばにある人の、

「この中将に扇の絵のこといへ」


とささめけば、

「いま、かの君のたち給ひなむにを」


といとみそかにいひ入るるを、その人だにえ聞きつけで、

「何とか、何とか」


と耳をかたぶけ来(く)るに、とをくゐて、

「にくし。さのたまはば、けふはたたじ」


とのたまひしこそ、いかで聞きつけ給ふらむと、あさましかりしか。


Tunagari_title
・枕草子 原文全集「成信の中将こそ/大蔵卿ばかり」

Related_title
もっと見る 


Keyword_title

Reference_title
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 5,946 pt 
 役に立った数 0 pt 
 う〜ん数 1 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!