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枕草子 原文全集「よろづのことよりも」

著者名: 古典愛好家
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よろづのことよりも、情けあるこそ

よろづのことよりも、情けあるこそ、男はさらなり、女もめでたくおぼゆれ。なげのことばなれど、せちに心にふかく入らねど、いとほしきことをば

「いとほし」


とも、あはれなるをば

「げにいかに思ふらむ」


などいひけるを伝へて聞きたるは、さしむかひていふよりもうれし。いかでこの人に、思ひしりけりとも見えにしがなと、つねにこそおぼゆれ。
 

かならず思ふべき人、とふべき人は、さるべきことなれば、とりわかれしもせず。さもあるまじき人の、さしいらへをも、うしろやすくしたるは、うれしきわざなり。いとやすきことなれど、さらにえあらぬことぞかし。
 

おほかた、心よき人の、まことにかどなからぬは、男も女もありがたきことなめり。また、さる人おほかるべし。


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・枕草子 原文全集「よろづのことよりも」

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渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社

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