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枕草子 原文全集「弾くものは/笛は」

著者名: 古典愛好家
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弾くものは

弾くものは琵琶。調べは風香調。黄鐘調。蘇合の急。鶯のさえずりといふ調べ。

筝の琴、いとめでたし。調べは想夫恋。


笛は

笛は。横笛、いみじうをかし。遠うより聞ゆるが、やうやう近うなりゆくもをかし。近かりつるがはるかになりて、いとほのかに聞ゆるもいとをかし。車にても、徒歩(かち)よりも、馬にても、すべてふところにさし入れて持たるも、なにとも見えず、さばかりをかしき物はなし。まして、聞きしりたる調子などは、いみじうめでたし。暁などに忘れて、をかしげなる、枕のもとにありける見つたるもなほをかし。人のとりにおこせたるを、おしつつみてやるも、立文のやうにみえたり。
 

笙の笛は、月のあかきに、車などにて聞こえたる、いとをかし。所せく持てあつかひにくくぞ見ゆる。さて、ふく顔やいかにぞ。それは横笛もふきなしなめりかし。
 

篳篥(ひちりき)はいとかしがましく、秋の虫をいはば、轡虫(くつわむし)などの心地して、うたてけぢかく聞かまほしからず。ましてわろくふきたるは、いとにくきに、臨時の祭の日、まだ御前にはいでで、もののうしろに横笛をいみじうふきたてたる、あな、おもしろと聞くほどに、なからばかりより、うちそへてふきのぼりたるこそ、ただいみじう、うるはし髪もたらむ人も、みな立ちあがりぬべき心地すれ。やうやう琴、笛にあはせてあゆみいでたる、いみじうをかし。

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・枕草子 原文全集「弾くものは/笛は」

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萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店

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