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枕草子 原文全集「雪のいとたかうはあらで」

著者名: 古典愛好家
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雪のいとたかうはあらで

雪のいとたかうはあらで、うすらかにふりたるなどは、いとこそをかしけれ。また、雪のいとたかうふりつもりたる夕暮れより、端ちかう、同じ心なる人二、三人ばかり、火桶を中にすゑて、物語などするほどに、暗うなりぬれど、こなたには火もともさぬに、おほかたの雪のひかり、いと白う見えたるに、火箸して灰などかきすさみて、あはれなるもをかしきも、言ひ合はせたるこそをかしけれ。
 

宵もやすぎぬらむと思ふほどに、沓(くつ)の音近う聞こゆれば、あやしと見いだしたるに、時々かやうのをりに、おぼえなく見ゆる人なりけり。

「今日の雪を、いかにと思ひやりきこえながら、なでふことにさはりて、その所に暮らしつる」


など言ふ。

「今日来(こ)む」


などやうのすぢをぞ言ふらむかし。昼ありつることどもなどうちはじめて、よろづのことをいふ。円座(わらふだ)ばかりさしいでたれど、片つ方の足は、下ながらあるに、鐘の音なども聞こゆるまで、内にも外にも、このいふことは飽かずぞおぼゆる。

 
明けぐれのほどにかへるとて、

「雪なにの山にみてり」


と誦したるは、いとをかしきものなり。女の限りしては、さもえゐあかさざらましを、ただなるよりはをかしう、すきたるありさま、などいひ合はせたり。



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・枕草子 原文全集「雪のいとたかうはあらで」

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萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店

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