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枕草子 原文全集「むねつぶるる物」

著者名: 古典愛好家
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むねつぶるる物

むねつぶるる物。競馬(くらべうま)みる。

元結(もとゆひ)よる。

おやなどの心地あしとて、例ならぬけしきなる。

まして世の中などさわがしと聞こゆるころは、よろづのことおぼえず。

また、ものいはぬちごの泣き入りて、乳ものまず、乳母(めのと)のいだくにもやまで久しき。


例の所ならぬ所にて、ことにまたいちじるからぬ人の声聞きつけたるはことわり、こと人などの、そのうへなどいふにも、まづこそつぶるれ。

いみじうにくき人のきたるにも、またつぶる。

あやしくつぶれがちなるものは、胸こそあれ。

よべきはじめたる人の、今朝の文のをそきは、人のためさへつぶる。



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・枕草子 原文全集「むねつぶるる物」

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萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 下」 新潮社
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店

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