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枕草子 原文全集「中納言殿まゐり給ひて」

著者名: 古典愛好家
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中納言殿まゐり給ひて

中納言殿まゐり給ひて、御扇たてまつらせ給ふに、

「隆家こそいみじき骨は得て侍れ。それを張らせてまゐらせむとするに、おぼろけの紙は、え張るまじければ、もとめ侍るなり」


と申し給ふ。

「いかやうにかある」


と問ひ聞こえさせ給へば、

「すべていみじう侍り。『さらにまだ見ぬ骨のさまなり』となむ人々申す。まことにかばかりのは見えざりつ。」


と、言たかくのたまへば、

「さては扇のにはあらで、海月(くらげ)のななり」


と聞こゆれば、

「これは隆家が言にしてむ」


とて、笑ひ給ふ。かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに入れつべけれど、

「ひとつな落としそ」


といへば、いかがはせむ。




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・枕草子 原文全集「中納言殿まゐり給ひて」

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渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社

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