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枕草子 原文全集「かたはらいたきもの」

著者名: 古典愛好家
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かたはらいたきもの

かたはらいたきもの。

よくも音弾きとどめぬ琴を、よくも調べで、心の限り弾きたてたる。

客人(まろううと)などにあひてものいふに、奥のかたにうちとけ事などいふを、えは制せで聞く心地。

思ふ人のいたく酔ひて、同じことしたる。

聞きゐたりけるをしらで、人のうへいひたる。

それは、何ばかりならねど、つかふ人などだにかたはらいたし。


旅立ちたる所にて、下衆(げす)どものざれゐたる。

にくげなるちごを、おのが心地のかなしきままに、うつくしみかなしがり、これが声のままに、いひたることなど語りたる。

才ある人の前にて、才なき人の、ものおぼえ声に、人の名などいひたる。

ことによしとも覚えぬわが歌を、人に語りて、人のほめなどしたるよしいふも、かたはらいたし。




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・枕草子 原文全集「かたはらいたきもの」

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萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店

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