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枕草子 原文全集「上の御局の御簾の前にて」

著者名: 古典愛好家
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上の御局の御簾の前にて

上の御局の御簾(みす)の前にて、殿上人、日一日、琴笛吹き遊びくらして、大殿油(おほとなぶら)まゐるほどに、まだ御格子はまゐらぬに、大殿油さし出でたれば、戸のあきたるがあはらなれば、琵琶の御琴をたたざまに持たせ給へり。くれないゐの御衣どもの、いふも世のつねなる袿(うちぎ)、また、張りたるどもなどをあまた奉りて、いとくろうつややかなる琵琶に、御袖をうちかけて、とらへさせ給へるだにめでたきに、そばより、御ひたひのほどの、いみじうしろうめでたくけざやかにて、はつれさせ給へるは、たとふべき方ぞなきや。ちかくゐ給へる人にさし寄りて、

「なかば隠したりけむは、えかくはあらざりけむかし。あれはただ人にこそはありけめ」


といふを、道もなきにわけまゐりて申せば、笑はせ給ひて、

「別れはしりたりや」


となむ仰せらるるもいとをかし。




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・枕草子 原文全集「上の御局の御簾の前にて」

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萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店

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