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枕草子 原文全集「細太刀に平緒つけて/内裏は五節のころこそ」

著者名: 古典愛好家
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細太刀に平緒つけて

細太刀に平緒つけて、きよげなる男の持てわたるもなまめかし。


内裏は五節のころこそ

内裏は五節のころこそ、すずろにただ、なべて見ゆる人もをかしうおぼゆれ。主殿司(とものづかさ)などの、色々のさいでを、物忌みのやうにて、釵子(さいし)につけたるなども、めづらしう見ゆ。宣耀殿(せんようでん)の反橋に、元結のむら濃いとけざやかにて出でゐたるも、さまざまにつけてをかしうのみぞある。上の雑仕わらはべも、いみじき色ふしと思ひたる、ことわりなり。山藍、日かげなど、柳筥(やなひばこ)に入れて、かうぶりしたる男など持てありくなど、いとをかしう見ゆ。殿上人の、直衣ぬぎたれて、扇やなにやと拍子にして、

「つかさまさりと、しきなみぞ立つ」


といふ歌をうたひ、局どもの前わたる、いみじうたちなれたらむ心地もさわぎぬべしかし。まひて、さと、ひとたびにうちわらひなどしたるほど、いとおそろし。行事の蔵人の、掻練襲(かいねりがさね)、ものよりことにきよらに見ゆ。褥(しとね)など敷きたれど、なかなかえものぼりゐず、女房のゐたるさまほめそしり、この頃はこと事もなかめり。

帳台の夜、行事の蔵人の、いときびしうもてなしてかひつくろひ、ふたりの童よりほかにはすべて入るまじと、戸をおさへておもにくきまでいへば、殿上人なども、

「なほこれ一人は」


などのたまふを、

「うらやみありて、いかでか」


など、かたくいふに、宮の女房の二十人ばかり、蔵人をなにともせず、戸をおしあけてさめき入りては、あきれて、

「いと、こはずちなき世かな」


とて、立てるもをかし。それにつけてぞ、かしづきどももみな入るけしき、いとねたげなり。上もおはしまして、をかしと御覧じおはしますらむかし。灯台にむかひてねたる顔どもも、らうたげなり。



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・枕草子 原文全集「細太刀に平緒つけて/内裏は五節のころこそ」

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萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店

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