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9_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

『あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る』 わかりやすい現代語訳と品詞分解

著者名: 走るメロス
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はじめに

このテキストでは、万葉集に収録されている歌「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」の現代語訳・口語訳と解説、そしてその品詞分解をしています。

原文

(※1)あかねさす紫野行き(※2)標野行き (※3)野守は見ずや(※4)君(※5)袖振る

ひらがなでの読み方

あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる

現代語訳

紫草の生えた野を行き、標野を行きながら(標野の)見張りが見やしないか、いや、見てしまうでしょう。あなたが(あっちへ行きこっちへ行きながら私に)袖を振るのを。

解説

この歌の前書きには、「大海人皇子が蒲生野で狩りをしたときに、額田王が詠んだ歌」と記されています。額田王(ぬかたのおおきみ)は飛鳥時代の歌人です。大海人皇子(のちの天武天皇)と結婚をして子どもをもうけていましたが、この歌を詠んだときには、大海人皇子とは別れて、天智天皇(大化の改新で有名な中大兄皇子。大海人皇子のお兄さん)と恋人関係にありました。

宴会の席で額田王は、大海人皇子との昔の関係をネタにして1句詠んだのです。

今は天智天皇と付き合っているけれど、大海人皇子は、実はまだ私に気があって、彼は袖を振って好きだと伝えてくるわ。そんなあちこちで袖を振っていたら、見張りの人がこれをみて、秘めた恋がばれてしまうじゃないの。


もちろん、大海人皇子に対するいじわるではなくて、ただのネタです。その場にいた大海人皇子は、この句を聞いて、歌を返します。それが

紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも

という句です。

単語

(※1)あかねさす紫にかかる枕詞
(※2)標野(しめの)一般人の立ち入りが禁じられた御料地
(※3)野守御料地の警備担当の人
(※4)君女性が男性を呼うときに使った代名詞
(※5)袖振る愛情を示したり、悲しみを表すときにするしぐさ


品詞分解

あかねさす枕詞
紫野
行きカ行四段活用「ゆく」の連用形
標野
行きカ行四段活用「ゆく」の連用形
野守
係助詞
マ行上一段活用「みる」の未然形
打消助動詞「ず」のの終止形
反語の係助詞(※疑問の終助詞とする説もある)
格助詞
振るラ行四段活用「ふる」の連体形

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『教科書 精選国語総合』 東京書籍
佐竹昭広、前田金五郎、大野晋 編1990 『岩波古語辞典 補訂版』 岩波書店
『教科書 高等学校国語 国語総合』 東京書籍

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